オムツを自らはいて知った大変さ

加藤 80歳になるのは正直、ちょっと恐怖なんです。いきなり体調が大きく変わってしまうんじゃないかと……。

新田 85歳までは変わらない人が多いですよ。

加藤 あと5年しかない!

新田 いやいや、普通の人で85歳だから、ストイックな加トちゃんならもっと元気でいられますよ。

まだまだ元気な“加トちゃん”こと加藤茶さんを、しっかり支えていきたいと語る加藤綾菜さん
まだまだ元気な“加トちゃん”こと加藤茶さんを、しっかり支えていきたいと語る加藤綾菜さん
【写真】新田さんと母・ひで子さんの生前の仲良しショット、今やお似合いの加トちゃん夫婦

加藤 大きな病気を何度もしているので、医師からも「今度倒れたら危ないので、絶対に怒らせないように」と言われているんです。なので、ケンカしても私は悪くないのにすぐ謝ります(笑)。

新田 愛だな~。私も母を喜ばせたくて、近場のドライブなどに連れ出したりしていました。商店街を連れて歩いたり、植物園に行ったり、食事を楽しんだり。でも、道に段差があったり、エレベーターが遠かったり、駐車場があるレストランが少なかったり、大変でしたね。オムツをしていてもやっぱりトイレに行きたいんですよね。トイレがどこにあるか、出かける前に下見したりしていました。

加藤 私もですが、新田さんもオムツをしてみたことがあるんですよね? 自分もしてみて初めてその大変さがわかりますよね。

新田 出そうと思っても全然出ない(笑)。母の気持ちがわかりました。自分が介護するようになって、その視点で見ると、全然シニアに優しい世の中じゃないなと感じることも多かったです。母が白いお茶碗にくっついた白い米粒が同化してよく見えなくて、残していたんです。中が白くなくて軽いお茶碗を探したんですが、当時は全然売っていなくて。それでシニアに優しい食器をプロデュースしたこともあるんですよ。

母に作った“エンディングドレス”

加藤 介護のゴールって、悲しいけれど看取りであることが多いですよね。そのあたりのことを少し伺ってもいいですか。

新田 もちろんです。母は昔から「恵利にはたくさん面倒を見てもらったから、最期は絶対にありがとうと言って死ぬからね」と言っていたんです。すると本当に最期、兄と私が両脇にいて、そのころには言葉も発せられなくなっていたんですけど、右の私を見て確認して、左の兄を見て確認して、その後、「あ、あ」って声を出して、そのまま目を閉じたんです。きっと「ありがとう」って言おうとしたんですね。母は約束を守ってくれたんだと思います。

加藤 それもおうちで看ていたからこそ、見逃さなかったのかもしれませんね。