【食生活】朝は粥、外食ほぼナシ。いつも腹八分目の食事
お坊さんは「肉を食べない」といったイメージもあるが、実際はそこまで徹底してはいない。
「お釈迦さまは、村を遊行し、住民からその日のご飯をお裾分けしてもらう『托鉢』をして暮らしていました。
もらえるものはありがたく全部食べたといいますから、その中には肉や魚もあったはず。精進料理も大切な考え方ですが、私は肉類もいただけるならありがたく食べる意識でいます」
そう教えてくれたのは早島英観住職。いわく、自然とその日自分が巡り合ったものを、大切に味わったほうが健全ではないかということだ。
食事で特に意識してることはない
禅宗のお坊さんは、修行時代には厳しい食事制限をするそうだが、「おふくろの味」のような定食を毎日作ってもらえる道場もあるようだ。
「食事で特に意識してることはないね。うちでは毎朝、私が寺の皆の朝食を用意しますが、何の変哲もないもので間に合わせてます」と話すのは平井正修住職。ある日のメニューを聞けば、お米と汁物を基本に、納豆、酢の物、ゆで卵と、気取らないラインナップ。我慢しているわけでもなく、外食をする機会もほぼないのだという。
泰丘良玄副住職は、食べ物に制限がないからこそ、朝はお粥を食べる習慣をつけているそうだ。「曹洞宗の開祖・道元禅師が、お粥の健康効果を説いた本を書いてるくらいです。寝起きの身体にもサラサラ入って、すぐエネルギーになってくれます」
体調がいいのは腹八分目だと言うのは藤原東演住職。「修行時代の食事は精進料理でしたが、檀家さんなどは『いくらも食べていないのでは』と、われわれに気を利かせて肉や魚の料理をたっぷりふるまってくれたんです。もちろん残さずいただきますが、坐禅のときにお腹が重いし、眠くなっちゃったんですよ」
【ドクターのコメント】
出されたものを残さず食べるのはとても良い。1食分の栄養素はばらばらに働くわけではなく、互いの効果を強めたり、吸収を促したりしてくれるからです。ただ、お坊さんの食事は野菜や穀類中心のメニューが多いですね。
もともと日本人は、内臓脂肪がつきやすい。動物性食品ばかりとると、生活習慣病になりやすくなります。一方で、日本人の半数以上は、動物性食品に含まれるのと同じ栄養素を植物性食品から合成できる遺伝子を持っています。大豆食品をたくさん食べるだけで、実はカルシウムなども十分足りるんです。
ちなみに僧は同年代の一般男性と比べ、食物繊維の摂取量が2倍という調査もあります。玄米、緑黄色野菜、海藻類などの献立は栄養満点。量は「腹八分目」がベストだからまさに理想の食事ですね。(奥田昌子先生)