「姿勢がよくなるだけで運動能力はグンとアップします。例えば猫背だと、必然的に肩甲骨と連動している骨盤が後傾し、股関節が十分に動かせない。まっすぐ走れない、走ってもすぐ転ぶなどはこういったことが原因だと考えられます」

 姿勢がよくなれば肺が圧迫されなくなり、疲れにくくなるという利点も。それに姿勢の悪さは健康面にも影響する。

「腰痛はもちろんですが、骨盤が後傾していると、直腸が曲がって圧迫され、便秘になりやすい。ガスもたまりやすく膨満感で食事をきちんととれなくなります。腸の健康が免疫力に大きく関わることは最近知られるようになりましたが、実はそこに姿勢が大きく影響しているというのは、意外と知られていません」

 運動をすることは勉強にも相乗効果が見込める。

「運動をすると脳に血液が行き渡り、頭がクリアになります。私が筋トレを指導している子どもたちは集中力が続くようになりました。これは姿勢がよくなり、自律神経のバランスが整ったことも影響していると考えています」

骨折が40年前の2倍! 骨がもろい現代っ子

 学校で骨折する子どもの割合が40年前の2倍以上に増えているというデータもある。

「今は外で子どもたちが自由に遊べる場所が少ないですよね。太陽光に当たらないと、骨の健康維持に欠かせないビタミンDが体内で合成されにくくなります」

 さらに睡眠不足も骨に悪い影響を与えるという。

「睡眠中に分泌される成長ホルモンには、骨を強くする働きがあります。しかし現代っ子は身体を動かさないので眠くならず、夜更かしするせいで成長ホルモンが出にくくなります。

 成長ホルモンの分泌のゴールデンタイムは22時からの4時間。でも22時までに熟睡できている小中学生は、結構少ないのでは

 2018年度の文部科学省の調査では、22時以降に就寝する子どもの割合は小学校高学年では半数を占め、中学生や高校生では9割近くになる。

「夜更かしをしていれば、朝ギリギリまで起きられず、朝食をしっかりとれない。栄養不足でカルシウムやタンパク質が不足すれば、身体もできあがりません。その結果、骨がもろくなるという負のスパイラルに陥ってしまいます」