飲食のワリカンこそ最大の懸念点!?
アンケートで特に多く挙げられたのが、先述したようなノンアル派による“ワリカン負け”エピソード。
「飲み放題プランのついていない飲み会なのに、飲めない人も同じ額を請求された。ソフトドリンクと料理で8500円はさすがにありえない」(東京都・44歳・会社員)など、配慮のないワリカンに不満を抱えている人は多いようだ。
同様に、「よく食べて飲む若い男性たちと、少食でお酒を飲まない自分が同じ額を払うのは、やっぱり納得がいかない」(神奈川県・51歳・パート)、「子連れの友人2人と一緒にランチに行ったとき、私だけ子どもがいないのに、彼女たちの子どもが食べた分まできちんと3等分で支払わされた」(兵庫県・28歳・会社員)と、負担額に不公平さを覚えるエピソードが目立った。
【飲み会ワリカンアンケート】
〜飲み会や食事会の費用をワリカンで支払うとき、適当と思う考え方を聞いた。多数回答が得られた上位5位まで紹介〜
1位 多く飲んだり食べたりした人が多く払うべき 242人
2位 男性も女性も平等に払うべき 179人
3位 男性は女性より多く払うべき 120人
4位 先輩は後輩より多く払うべき 102人
5位 先輩、後輩にかかわらず平等に払うべき 86人
(全国の20代〜50代の女性600人を対象に、2022年10月31日、Freeasyにて行ったアンケート。複数回答方式)
『飲食店でのワリカンで適当だと思うものはどれか』を尋ねた質問でも、「多く飲んだり食べたりした人が多く払うべき」が242人と最も多かったものの、なかなか公平なワリカンは難しいのが実情のようだ。この点について、京都大学大学院経済学研究科教授で経済学博士の依田高典さんは次のように解説する。
「たくさん食べた人やたくさん飲んだ人が、その分多く支払うことを“応益負担”といいます。また、給料をより多くもらっている先輩や上司など、支払い能力が高い人ほど多く負担することを“応能負担”といいます。
一方、そういった経済負担の考え方は取り入れず、単純に人数で均等に割って負担しましょうというのを“平等負担”といいます。ワリカンは、応益負担や応能負担の考え方と平等負担の考え方のせめぎ合いの場といえるかもしれませんね」
今回の『飲食店でのワリカンで適当だと思うものはどれか』の回答を分析すると、応益負担、応能負担をすべきだという考えが6割、平等負担をすべきだという考え方が4割という結果だ。
「アンケート調査では応益負担、応能負担の考え方のほうが多数派でしたが、経済学的な観点でもこちらの考え方のほうが正しいといえますね。
“平等”といえば聞こえはいいですが、実際には誰もが同じ量を飲み食いできるわけではないので、平等負担はどうしても不公平になりがちで、非合理的。だからこそ、平等負担を強いるワリカンの場合は割に合わないとモヤモヤする人が出てきてしまうのかもしれません」(依田さん)
また、「男性も女性も平等に払うべきだ」という回答が2位にきている点も興味深い結果だと依田さんは指摘する。
「女性のほうがたくさん食べたり、支払い能力が高いという場合は平等負担でいいのですが、実際はそれだと女性が損をする場面のほうが多いでしょう。
それにもかかわらず“平等負担をすべきだ”という考えがこれだけ多いのは、男女平等の考え方が根付いてきていることの表れなのかもしれませんね」(依田さん)