消費者も微妙な変化には気づきにくい
まず、“底上げ”“二重底”が批判されていた弁当についてだが、確認した限り、そのような仕様は見られなかった。
しかし、SNS上では同コンビニの弁当に対して、
「唐揚げが小さくなった」
「漬物がなくなった」
という声が見受けられた。つまり、“商品のリニューアル”と称して商品名を変更するとともに、弁当全体のボリュームダウンを行なっている可能性が高い。
次に、ツナ・たまご・ハム・レタスのミックスサンドイッチを確認したところ、ツナ・たまごの具材は購入の際に消費者の目に入る断面にのみ偏って置かれている。特にたまごは、白身が断面のみに配置されていた。
他にも、パッケージの2分の1ほどしかないサイズのスイーツや、包装を剥がすと容器の3分の1に醤油うけが設けられているなど、内容量を錯覚させるような仕様が施されているという印象だ。
「SNS上で苦情が殺到し、企業のイメージが悪化したため、以前のような悪質な“ステルス値上げ”をせず、現在は基本的に物価高に合わせて値上げを行なっているようです。しかし、一度失った信頼を取り戻すことは難しく、今でも同コンビニの商品への批判は後を立ちません」(前出・全国紙記者)
このような商品に対して、“国民生活センターへの通報レベル”との声もあったが、実際どれほど苦情が寄せられているのだろうか。東京都消費生活センターに確認すると、
「コンビニエンスストアに関するご相談は、異物混入にまつわる内容が大半を占めており、ご指摘頂いた内容のご相談は10年間で数件程度です」
とのことだった。
日常での訪問頻度が高いコンビニだけに、消費者も微妙な変化には気づきにくいと言ったところか。“物価高”に苦しんでいるのは企業も同様だろうが、消費者を騙すステルス値上げのような対策は、信頼やイメージという目に見えない企業価値を落とすことに気づいてほしい。