あやまりグセのある人
なおさん(34歳、仮名)は、みのるさん(37歳、仮名)とお見合い後、仮交際に入ったのですが、初めてのデートを終えて、“交際終了”を出してきました。その理由がこうでした。
「待ち合わせ場所がファッションビルの前だったんですけど、遠くから大きな花束を抱えて立っている人が見たんです。“もしや〜”と思ったら、やっぱりその方がみのるさんでした」
なおさんが歩いてくるのがわかると、みのるさんは満面の笑みで手を振ってきました。そして、言ったのです。
「この間はお見合い、ありがとうございました。交際希望もありがとうございます。この間、ピンクのワンピースがとてもお似合いだったので、お店でピンクの花を中心に花束を作ってもらいました。どうぞ」
手渡してきましたが、これからデートの間中この花束をずっと持って歩くのかと思うと、なおさんはちょっと気が重たくなりました。なおさんの表情が曇ったのを悟ったのか、みのるさんが言いました。
「あ、ごめんなさい。荷物になりますよね。僕が持っていて、帰り際にお渡ししますね」
そして、続けました。
「この近くのエスニックレストランを予約したんです。行きましょう」
「エスニックですか?」
なおさんは、エスニック料理の独特な香辛料が苦手でした。また、表情が曇ったのを読み取ったのか、みのるさんは言いました。
「あ、ごめんなさい。もしかして、エスニックは苦手でしたか? ごめんなさい。最初に聞けばよかったですね」
「大丈夫ですよ。食べられるものをメニューから選びますから」と、なおさんは言ったのですが、みのるさんは、しきりに恐縮している様子でした。
「ごめんなさい、僕、気が利かなかったですね。どうしようかなぁ、すいません」
そして、会ってまだ5分も経たないうちから、会話の中に“ごめんなさい”“すいません”を連発していました。
“そういえば、お見合いのときから、ごめんなさい、すいません、を連発していたっけ”と、なおさんは、思い出しました。
そこから、2人でエスニックレストランに行ったのですが、その会話の中にも、たくさんの“ごめんなさい”“すいません”が出てきていたのです。
なおさんは、私に言いました。
「どうしてこの人は、こんなにあやまってばかりいるんだろう。会社でも友達同士の間でもこんな調子なのかな。そう思ったら、会社での彼の立ち位置が見えた気がしたんです」
あやまりグセは、小さなころの親の教育や躾が影響をしていることもあります。小さな子どもが悪いことやイタズラをしたときに、親がそれを叱り、最後に、「ごめんなさいは?」と言って、必ずあやまりの言葉を言わせる。それが習慣になると、子どもは、「ごめんなさい」は、言わなくてはいけないもの、また、「ごめんなさい」をいえば、親の小言から早く解放されると思って成長していきます。
そして、それがいつしか、あやまりグセとして定着してしまいます。
また、自信のなさの表れでもあり、周りとの衝突を避けたいから咄嗟に危機回避をしようとする。自分の主義主張をする前にあやまって折れてしまうので、会社などで、「あの人に頼めば、断らないだろう」と思われて、どんどん分の悪い仕事を押し付けられる傾向にもあります。
衝突を避けたい、相手を不快にさせたくないと思って、あやまるのですが、それが返って逆効果を生んでしまうのです。
男性も女性もあやまりグセのある人は魅力的ではありません。人に気を使いすぎる人と一緒にいても、リラックスできないし、楽しめませんよね。
あやまりグセがあると思う人は、注意していてください。