「あんなところで働けない。仕事は辞めてきたわ」
ゆうきさん(40歳、仮名)は、1年ほど前に、ちえさん(35歳、仮名)と成婚し、退会していきました。その2か月後には、新居も決め、引っ越しも済ませ、入籍をして夫婦となりました。
ところが、新婚生活は、たったの5か月で終焉を迎えることになりました。
そう言ってやってきたゆうきさんに、何があったのかをたずねました。ゆうきさんは言いました。
「入籍した途端、人が変わってしまったんです」
まず、入籍した1週間後に、何の相談もなく仕事を辞めてきたそうです。
「彼女は公務員で仕事は安定していたし、休日出勤もほとんどない。産休も取りやすい。家計を2馬力で回していたほうが、金銭的に楽になるだろうと思っていました」
なぜ辞めたかといえば、「職場の人間関係がうまくいっていなかったから」だと言うのです。
「だとしても、やめる前に相談してくれてもいいと思うんですよ。それに『次の仕事はすぐに探す』と言っていたのに、一向にその様子もない。そして、何を言い出すかと思ったら、『心理カウンセラーになる』と。そのカウンセラーになるための養成講座を60万円出して、契約してきたと言うんですよ」
その講座を終えて、カウンセラーとして独立できたとしても、公務員時代の給料と同じ金額が稼げるわけがありません。
「もうひとつびっくりしたのが、公務員だったはずなのに、貯金がほとんどなかったんです。一人暮らしをしていたらから、生活にお金がかかるのはわかるのですが、贅沢をしなければ細々とでも貯金はできたはず。よくよく聞いたら、料理教室に30万払ったとか、着付け教室に20万払ったとか、話し方講座を40万で受けたとか、教室や講座に行くのが大好きだったんです。それじゃあ、お金なんてたまりませんよ」
そして、仕事もせずに1日中家にいるのに、夜ゆうきさんが家に帰っても、夕食の用意もされていない。ちえさんは自分の部屋にこもって、ずっとパソコンでゲームをしたり動画を見ていたりしていたそうです。
「これでは、結婚生活が成り立たない」
喧嘩も絶えなくなり、話し合いの末、離婚をすることになりました。
真剣交際に入る、婚約をする、結婚をする‥‥。それまでとは、違ったステージに入ったときに見えてくるパートナーの一面というのは、多かれ少なかれあると思います。遠慮していて出せなかった一面が見えてきたときに、それを話し合って、うまく軌道修正できるかどうかが、その後の分かれ目。
関係性が近づくほどに遠慮もなくなっていきますが、どんなときも相手への思いやりと尊敬の念が大切ではないでしょうか。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊『100日で結婚』(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル』