回線移行に便乗したダマしの手口に注意
IP網移行にあたり懸念されるのが、切り替えに便乗した強引な販売勧誘や詐欺被害。国民生活センターで「今後固定電話が使えなくなると言われて、光回線の契約をした」「2024年にアナログ回線がなくなると言われて、光回線を勧誘された」などの相談事例もある。
もし不審な勧誘やトラブルがあれば、消費生活センターなどに連絡を。今後も移行に便乗した詐欺や勧誘は頻出するとみられ、前出の佐倉さんも、
「ご利用者様のほうで契約手続き、電話機の交換、切替工事をしなければならないということはありません」
と注意を呼びかける。
かつて固定電話は豊かさの象徴で、加入権が8万円という時代も。それだけに信頼性も高く、アンケートでも、
「書類に書く番号のために固定電話を持っているようなもので、基本は携帯電話オンリー」(東京都・45歳女性)
と、公の機関への提出書類用に固定電話の番号を残しているというケースも見受けられた。同時に今後も固定電話の使用を継続するか否か検討しているという声も多く、
「そうなると電話の債権はどうなるの?」(大阪府・66歳女性)
という、権利に関する問いが複数あがっている。
「固定電話を利用する際は施設設置負担金をお支払いいただいていますが、これは解約のほか、休止・再開も可能」(佐倉さん)
とのこと。ちなみに、「解約料はなし。ただし解約しても返金はございません」。また今後も固定電話の加入は可能で、新規契約時に3万6千円(税抜き)の施設設置負担金、もしくは月々のプランに上乗せした契約が必要となる。
IP網への移行に伴い、料金も改定される。基本料金は現状のままで、通話料金は現在の市内通話料金と同じ9・35円/180秒だが距離に関係なく、全国一律になる。長距離通話がぐっとお得になる計算で、これは固定電話ユーザーにとってはうれしいニュースといえよう。
コミュニケーションの在り方が刻々と変わる時代に、この先固定電話をどう使い、携帯電話とどう併用していくべきか。自身のライフスタイルを見直す必要がありそうだ。
<取材・文/小野寺悦子>