100均のアロマは芳香剤のようなもの
「精油」と勘違いされやすい「アロマオイル」は、100円ショップや、いわゆる「プチプラ」のショップで売られている。
間違ってまがい物を購入しないために、パッケージなどに表示されている内容について知っておいてほしい。
「『精油』の原料は、植物の花や葉、果皮などです。それを蒸留などの方法によって抽出しており、植物性原料100%。成分無調整のオイルとなっています」
例えば、「ラベンダー」から蒸留によって抽出された「精油」ならば、成分表示に記載されるのは抽出部位である「花、葉」だけである。
その一方で、100円ショップなどで販売されている「アロマオイル」の成分表示には「水、界面活性剤、香料、エタノール、防腐剤」などと明記されている。
表示を見ても、この「アロマオイル」の香りの原料に天然香料と人工香料、どちらが使われているか判別できない。
界面活性剤は肌への浸透性が高いため、肌トラブルを起こしやすい面もある。また、人工香料の成分は低分子であるため、皮膚に吸収されやすく、アレルギーを引き起こすことも。化粧品に添加される防腐剤でさえ、肌に炎症を起こすことがある。
しかも化粧品のように理化学試験も行われていないので、安全性が担保できない以上、肌につけるのは避けたい。
ただし、「アロマオイル」がすべて悪者というわけではない。アロマテラピーによる効能を求めずに、香りを楽しむだけなら問題はない。大事なのは、「アロマオイル」と「精油」の違いを理解して選ぶことだ。
本物を100円で売れるはずがない
小野さんは、さまざまな種類の「精油」の中から、自分の不調に合うものを選んで使えば、症状の変化が期待できると話す。それは、「精油」の成分に自然治癒力を高める作用が認められているから。
「『精油』の作用を身体に取り入れるための方法はおもに2つ。匂いをかぐ芳香と、希釈した『精油』を身体に塗るトリートメントです」
1つ目の芳香は、ティッシュペーパーに少量を染み込ませたり、アロマディフューザーなどで「精油」の香りを漂わせる。
「香りをかぐと緊張をやわらげる、イライラした気持ちを静めるなど、感情をコントロールすることもできます。近年では、認知症予防など、脳に働きかける作用があるという研究報告もされており、シニア世代にも日常的にぜひ取り入れてほしいです」
2つ目は、希釈した「精油」を顔や脚などに塗り、手で優しくトリートメントする。
「『精油』が肌内部に浸透して潤いを高めたり、筋肉の疲労を癒す作用があります」
ただし、「アロマオイル」では、これらの作用はいっさい期待できないのだ。