3月21日、第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、「侍ジャパン」がメキシコに劇的なサヨナラ勝利を収め、22日(日本時間)に行われるアメリカとの決勝へ駒を進めた。
大盛り上がりをみせる中、大会の日程を巡ってひと悶着あった。
「メキシコ代表のベンジー・ジル監督が公の場で大会の運営を批判しました。アメリカで行われる準々決勝の2日前に“日程変更”が行われ、メキシコは当初の想定より一日前倒しで試合をすることに。これにジル監督が“プレーするうえでは100%不利になる”と異議を唱えました」(スポーツ紙記者)
大会中に日程が変わったというのはどういうことなのか。
「当初、WBCのホームページの大会日程ではアメリカのいるプールCの2位が現地時間17日にプールD1位と、同C1位が同D2位と現地時間18日に対戦する予定でした。しかし、アメリカが1次リーグを突破した場合、現地時間18日にアメリカの試合を行うという注釈がついていました。プールCの結果はアメリカが2位、メキシコが1位で突破。本来であれば、1位のメキシコが18日に試合をするはずでしたが、この注釈があったためにメキシコは1日早い17日に試合を行うことになりました。この日程についての注釈の狙いは、18日の土曜日にアメリカ戦を行ったほうが、テレビ視聴率が見込めるからという話もあります」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
日本と決勝で対戦するように調整か
日本にも影響があった。
「大会から発表された当初の日程では、日本対アメリカの組み合わせが実現するのは準決勝のみとみられていました。これは先ほどの注釈によって、アメリカは現地時間18日の準々決勝2試合目に固定されていたため。侍ジャパンの関係者も準決勝まで進んだ場合、アメリカとの対戦を想定し、ヤマ場としていましたが、急な変更に驚いていました。MLBのチーフオペレーション兼ストラテジーオフィサーのクリス・マリナック氏は会見で“組み合わせを変更したわけではない”と話していましたが、あいまいな表現での注釈が混乱を招きました。この“日程変更”はアメリカが優勝候補の日本と準決勝で対戦することを避けるため、アメリカでも人気の大谷選手がいる日本と決勝で対戦したほうが盛り上がり、視聴率もよくなるから、といった裏事情があるとされています」
アメリカファーストとも取れるWBC。だが、これは今に始まったことではなかった。
「‘06年の第1回大会の日本対アメリカの試合でも問題が起きました。3対3の8回に日本が犠牲フライで勝ち越しに成功。ところが、タッチアップのタイミングが早かったとアメリカが抗議すると、一度セーフとした二塁塁審の判定を覆して、球審のボブ・デービッドソンがアウトを宣告。得点は認められず、この判定をアメリカ人記者も“誤審”と指摘していました。問題のデービッドソンはこの後のアメリカ対メキシコ戦でもアメリカ有利の判定をして物議を醸しました」
“アメリカ贔屓”は大会運営でも見られて……
「第1回大会や第2回大会で採用された敗者復活を含む変則的なトーナメント方式もアメリカが負けたとしても復活して優勝できるようにするためと言われています。結果的にこのシステムのおかげで日本は連覇を達成しましたが。WBCはMLBと選手会が立ち上げたワールド・ベースボール・クラシック・インクが主催のため、アメリカに有利になるのは仕方ないのかもしれませんが……」
‘09年以来の優勝まであと一つ。ベースボールの母国・アメリカにサムライ野球が勝つ姿が見たい!