「ラン活」が活発化
「ラン活」という言葉が生まれるほど過熱するランドセルにも、サブスクが誕生している。サービスを手がけるのは、大阪の老舗かばんメーカー・コクホー。今年2月からランドセルのサブスク『RandS』をスタートさせた。
庄山理恵専務が説明する。
「入学する前年の5月ごろからランドセルを探し始めるなど、ラン活は早期化しています。また地域によっては、教科書だけでなく体操着やタブレットもランドセルに入れて持ち帰らなければならない学校もある。“どんなランドセルを選べばいいのかわからない”という保護者の声を聞くことが多くなりました。
こうした事情やお子さんの成長に合わせた選択肢を増やせないかと考え、サブスクの取り組みを始めました」
月額料金は税込み990円から3850円と、3種あるプランごとに異なる。どれも250種類のランドセルの中から選ぶことが可能だ。またプランに応じて1か月~3か月に1度、ほかのランドセルに交換できる。気に入れば途中で買い取ることもできるうえ、3年間同じプランを継続利用すると、そのランドセルがプレゼントされるという。
「すでに300件以上の契約をいただいています。一番人気は月額990円のVプラン。お申し込みされた約6割の方に選ばれています」
(庄山専務、以下同)
興味深いのは、海外赴任から帰国予定というケースや、ランドセルを使わない地域から他県へ転入する人など、さまざまな保護者が実に賢くサブスクを利用している点だ。
「小3でランドセルを買うとしたら、使用するのは残りわずか3年。とはいえ“3年間のために何万円も支払うのは迷うけれど、いいものを持たせてやりたい”というのが親心。そうした潜在的必要層にもサブスクは人気です」
子ども向けのサブスクはこれだけにとどまらない。受験生の3人に1人が利用しているという学習管理アプリ『スタディプラス』では、月額980円で電子版の学習参考書200冊以上が読み放題となるサービスを実施。重たい参考書を持ち歩くことなく勉強できるとあって、好評だ。さらには少年野球にもサブスクが進出。千葉県鎌ヶ谷市の『超野球専門店CV』では子どもの体格に合わせて、高騰するバットを月額2750円から利用できるサブスクを導入、話題を集めている。
なぜ今、子ども向けのサブスクが相次いで登場しているのだろうか。
「コロナ禍を経て物価高が深刻化する中、子育て世帯の家計ダメージが広く報じられるようになりました。
とりわけ保護者からは制服や学校指定品が高すぎるという声を頻繁に聞きますし、リユースの取り組みも拡大している。こうした社会状況に対応する動きとして、サブスクが子ども関連の分野でも広がってきているのではないでしょうか」
そう指摘するのは、教育学者で千葉工業大学准教授の福嶋尚子さんだ。