さらに、同じく彼女がMCを務める『午前0時の森』では、中村からの手紙が読み上げられた。その冒頭はこういうものだ。

《この度、そちらにいらっしゃる、日本テレビアナウンス部副主任、NFL倶楽部初代アシスタントかつ、圧倒的理想の上司でもある水卜麻美さんと、結婚させていただきました。理想の上司は、家では主にアザラシのように床で寝ております》

有吉を「気持ちよく」させたスキル

 ここで思い出されるのが『ヒルナンデス!』での有吉弘行とのやりとりだ。彼女がクイズコーナーのヒントをジェスチャーで出し、その動きについて容姿いじりをされるのがお約束だった。

 その対応が、常に絶妙だったのである。すねてみせたり、ぼやいてみたり、可愛くて笑える見事なコンビ芸だった。

 有吉といえば、彼女の前の日テレエースアナだった夏目三久を落とした男。そんな男に気持ちよく仕事をさせ、自身も気持ちよく振る舞うことで、視聴者にも「春風」みたいな気持ちよさを感じさせる、それが彼女の真骨頂というわけだ。

 そこには、コンプレックスと自信は紙一重という真理がある。彼女は自分の容姿が愛されていることをわかっているので、そのあたりをいじられることが苦痛にならない。むしろ、快感にもつながっているのではないか。

 例えば、Mr.Childrenの人気曲『Over』で、桜井和寿は「小さな胸」も「大きな声」も「荒れた手のひら」も君のすべてを愛していたと歌い、ファンをうっとりさせた。

 コンプレックスを自信に変えてくれるような男に、女はときめくのだろう。

 ただし、中村や有吉、桜井の共通点を考えると、その相手は一流のイケてる男に限る、ということかもしれない。そんな女心の機微がうかがえるような、ミトちゃんの結婚である。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。