コロナ禍でキャンディ市場が停滞も
輪をかけて、東大生協駒場購買部で、『森永ラムネ』が他のお菓子に比べ2倍のスペースで販売されていることが報道されると、いよいよぶどう糖の効果に熱視線が注がれるようになる。『森永ラムネ』は、“子どもに愛されるお菓子”から、“子どもから大人まで愛されるお菓子”という不動のポジションを確立した。
「東京大学の生協さんのほうで、『森永ラムネ』が売れているといった情報を耳にして、東大新聞さんとタイアップが実現しました。'14年のときもそうですが、われわれから発信したわけではありません。本当に愛されている商品なのだと痛感しています」
ぶどう糖菓子の第一人者である『森永ラムネ』は、某ハンバーガーチェーンのシェイクや、コンビニチェーンのフラッペとコラボをするまでに。また、『inゼリー エネルギーブドウ糖』や『森永 マッスルフィットプロテイン 森永ラムネ味』など派生商品も数多く展開。もはや、お菓子業界にとどまる器ではないのかもしれない。
「『森永ラムネ』は汎用性が高く、いろいろな商品と相性がいいという点も大きな武器です。また、お客さまの中でイメージが定着している商品ですので、コラボ商品も安心して手に取っていただけることも、選ばれる大きな理由だと思っています」
50年という長い年月の中で、常に第一線クラスで親しまれ、売れ続けているお菓子はそうないだろう。そう中原さんに水を向けると、「実はコロナ禍においては、『森永ラムネ』を含むキャンディ市場が停滞した」と明かす。
「ビスケットなど家の中で食べられるお菓子は、巣ごもり需要もあって好調だったのですが、キャンディをはじめとした移動中に食べられるお菓子は需要が下がってしまいました。また、人と会う機会が激減したことで、口の中をリフレッシュするようなタブレット系お菓子も売り上げが下がりました。
ただ、『森永ラムネ』はテレワークのお供に─ではないですが、在宅中での仕事や勉強で集中したいときに手に取っていただける商品として需要が根強くありました」
世の中のムードと商品が連動していることを示すと同時に、ロングラン商品だからこそ、新しい提案をすることの大切さを教える好例だろう。
「現在、キャンディ市場は食感が求められているところもあります。現在発売中の『バリボリラムネ〈グレープ味〉』と『パリほろラムネ〈レモン味〉』は、『森永ラムネ』とは異なる食感を楽しめるので、そういった面を含めてお客さまに楽しんでいただけるようにご提案していきたい」
アフターコロナになりつつある現在は、キャンディ市場が盛り返している状況だという。目指すは、55周年、60周年だ。
「最終的な目標としては、あらゆるシーンでお客さまが集中したいときに選ばれるアイテムにしたいという思いがあります。例えば、受験シーズンであれば、受験生の皆さんに訴求し、受験生の皆さんが『森永ラムネ』を選んでくれたらうれしいです。
他社でも“集中”を訴求している商品が登場していますが、森永製菓は50年間お客さまに愛され続けてきたという自負もあります。ブランドとしての価値を高めながら、さらなる拡大を目指していきたいです」
昨年度は約34億粒を売り上げたという『森永ラムネ』。勉強に仕事のお供にこれからも長く愛され続けることだろう。