“限定的”な強さ
また、前出の本には『水曜日のダウンタウン』のディレクターも登場。最近、変わり者がひどい目に遭うような見世物小屋的な笑いはよしとされないため、クロちゃんは不利な状況にあり、
「誰がやっても面白くなる素材ではない」
と語っている。つまり、あの面白さはいじられる側といじる側の職人芸によってギリギリ成立しているわけだ。それゆえ、持ち味が活きる場所も限られるのだろう。
そういえば最近『相葉マナブ』(テレビ朝日系)で丸刈りの芸人が出てくることが「お約束」になっている。レギュラーの澤部佑(ハライチ)や小峠英二(バイきんぐ)に加え、岡部大(ハナコ)やあばれる君が登場。とはいえ、クロちゃんがそこに加わる光景はまだ想像できない。
なお、彼に一大転機をもたらした『水曜日のダウンタウン』では、その後、アイドルグループ『豆柴の大群』をプロデュースしたり、10年ぶりに彼女ができたりという話題が提供された。
その盛り上がりはやはり限定的だが、みんなにいじられ始めたら、キモあざとさが世間に共有されて予定調和になってしまう。また、彼女ができたくらいでおとなしく変わるようでは、モンスター失格だろう。
クロちゃんにとって、次の転機はなるべく来ないほうがいいのだ。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。