目次
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ー 2007年にテレビ番組で乳房にがんが見つかる
Page 2
ー 憧れだった浅草の舞台に立つ
Page 3
ー 若いころに戻りたいとは思わない

 

 今、お笑いの世界は大きく変化しつつある。女性芸人が多数登場し、女性が自らのアイデアで人を笑わせる、新しい時代となった。「女は笑いに向いてない」と言われた時代から、女性が人を笑わせる自由を手に入れるまで。フロンティアたちの軌跡と本音を描く。

2007年にテレビ番組で乳房にがんが見つかる

 “唯一お笑いで天下を取った女性ピン芸人”と言われている山田邦子さんの最終回。

 YouTube配信、演芸場に出演するなど、60歳を過ぎてもより自由にやりたいことにチャレンジ。後輩の女性芸人が増えていることを喜びつつ、貪欲に笑いを求めて活動する。笑いの道を選び、今も歩みを止めない、キャリア40年を超えた女性芸人のリアルな本音。そしてこれから。

 2007年、『最終警告! たけしの本当は怖い家庭の医学』の乳がん特集に出演したのがきっかけで、左右の乳房にがんが見つかった。

病院に通うようになって、初めてSuicaを使うようになったんです。友人が買ってくれて。車以外の移動が新鮮でしたね

 前向きに治療に臨み、2度にわたって手術を受けた。番組で公表した際、司会のビートたけしさんは「大当たり賞」と言って、彼なりの励ましをしてくれたという。

 初期の発見だったため、順調に回復。手術後の治療を受けながら、2008年からNHKラジオ『日曜バラエティー』で生放送の司会を担当することになった。

「7分ぐらいのネタコーナーがあって、毎週新しいネタを作って、生放送でお客さんの前で披露しました。2019年の番組終了まで11年間、合計450本ほど。中にはくそネタもあったけど、あれから強くなりましたね。お笑い芸人としての、私の大きなターニングポイントになったと思います

 2019年、長らく在籍した太田プロダクションとの契約を解消した。

19年間地道に稽古を続けていた長唄で名取となり、歌舞伎座公演で歌うことができたんですが、事務所スタッフは誰ひとり見に来なかったことがとても残念で、それがいちばんのきっかけでした。入るときに『女は面倒くさい』と言いながら、長年温かく見守ってくれていた当時の社長が、引退して現場にいなくなってしまったのも、大きかったですね」

 独立し、59歳にして新しい出発をすることになった。半年間のフリーの期間を経て、スポーツマネージメントを中心とする事務所と業務提携。協力を得つつ、自分発信でどんどんやりたいことに取り組むようになった。念願だったYouTubeにも挑戦。

テレビでネタをやりたくても、今は機会がないですから、YouTubeならできると思ったんで始めました。前々からやりたかったんです

 まずは得意のトーク、ものまねを配信。若いスタッフの「お笑いだけではつまらない」という厳しい意見にも耳を傾け、体験ものや、最新トピックのコメント動画など、今どきの手法もどんどん取り入れている。