子育て中、仕事の悩みも抱えていた。

テレビには向いてないと思って、距離をおこうと考えたことはありましたけど。お笑い自体をやめようと思ったことはないです。たとえ仕事として成立しなくても、ふざけていたいというか(笑)。性分なんでしょうね。たぶん、一生ふざけているんだと思います」

共演の芸人から「ババァ」「ブス」とツッコミ

“母として”の部分は、これまであまり話題にしてこなかった。その理由についてはこう語る。

私が育児のことをしゃべっても面白くないし。それよりは、モノマネを聴いてもらったほうが面白いと思ってたんです。そのほうが自分も楽しいし飽きないので」

 娘さんは無事に成人し、介護の仕事に就いた。最近、結婚したそうだ。

「今年のライブには、夫婦で見に来てくれたんですよ。“もう1回見たいぐらい面白かったよ”とメールをくれました。私がやるモノマネを、“誰のことかわからなかった”と教えてくれることもあって、娘はいいバロメーターでもあるんです

 女性ならではの苦労というのは、これまでにあったのだろうか。

若いころは、ババァとかブスとか、共演の芸人さんからよくツッコまれましたね。子どももいてお笑いをやっているのが珍しかったのもあるのかな。そのときは、やっぱりちょっとムッとすることもありましたけど。ところが、実際に年を取ってくると、それだけは言っちゃいけないみたいな空気になるのか、寂しいほど言われなくなった(笑)。言われてるうちが花だったんでしょうね

 清水さんがデビューした時期は、歌手や女優がコントに駆り出されることも多く、笑いを専門とする女性は少なかった。

女性はひとりだけっていう現場がほとんどだったので、愚痴を言う相手もいない。男性の楽屋は楽しそうにしてるのに、私はポツーンとひとり。女性芸人が少なくて、孤独だったと思います

 最近、女性芸人たちがたくさん登場してきたことを、「本当にいい時代になったなと思います」とミチコさんは喜んでいる。後輩たちと一緒に飲み会をしたり、家に招いて食事会をすることもあるそうだ。

付き合ってみると、性格のいい子が多い……というか、性格のいい子じゃないと、女性芸人になれないと思います。“きれいな私を見て”じゃなくて、“面白い私でいたい”とか、“私みたいなので笑ってほしい”という気持ちの人が多いから、誰もイバらないし。一緒にいて本当に楽しい。私も若い人といると、“こんなに軽やかに生きられればなぁ”とか、いい意味で感化されますね」