ライブ活動を続けられた理由は笑ってもらえる快感
それだけ大変でも、長くライブ活動を続けてこられた秘訣は何なのだろうか。
「やっぱり笑ってもらえる快感があるからですね。それが欲しいからやってます。最初のネタでお客さんが爆笑してくれると、スタッフも本当にうれしそうな顔をするし、私もうれしい。ライブは仕事って感覚がなくて、私自身が本当に楽しいから続けてます」
2021年、まだ入場制限のあった武道館ライブで。
約2時間のステージの後、カーテンコールで再登場したミチコさんは、伊丹十三賞を受賞したことを報告した。コロナ禍の中、YouTubeで沈みがちな人々を励ましたというのが受賞理由だった。
「毎日コツコツふざけてきたことが、評価されてうれしく思います」
つめかけた観客から、大きな拍手が送られる。
「まじめになりそうなときもありました。魔が差すんですね。そんなときに励ましてくれたのが……」
その後、意外な単語が飛び出し、感動に傾きかけた会場を、見事に笑いの波に変えてエンディングを迎えた。
終演後は、オリジナルソング『規制退場の歌』が流れる。観客が待たされてイラつきそうになるところを、くすっとさせて、送り出す。
つらいときもしんどいときも、年をとっても、コツコツふざけ、面白がってきた。社会の規制、自分という窮屈を、清水ミチコは笑いの力で解放する。
構成・文/伊藤愛子●いとう・あいこ 人物取材を専門としてきたライター。お笑い関係の執筆も多く、生で見たライブは1000を超える。著書は『ダウンタウンの理由。』など