時間の使い方こそが金銭感覚を映す鏡

 最初にやるべきことは、時間の管理。お金の使い方を見直すのと同時に、時間の使い方を見直すことが重要だと山崎さんは指摘する。

「現役時代は、労働時間がお金になりますが、その感覚は年金生活になっても変えてはいけません。時間はお金です。定年後は自由時間が増えるからこそ、適当に時間を過ごしていると、お金の使い方もどんどん適当になって苦労する傾向があるのです。

 また、寝起きの時間を決めずにダラダラ過ごしていると、体調を崩しやすくなり、余計な出費を生む可能性も。お金だけを切り詰めればよいという考えでは、うまくいかないのです」

 次に手をつけたいのは、支出のレコーディング。1週間の支出を記録し、支出の総額を4倍して1か月のおおよその支出額を把握すること。

副食物には副菜や果物など、調味料には飲み物を含む。養は教養費(本)、職業費はこづかいなど(写真提供/山崎美津江さん)
副食物には副菜や果物など、調味料には飲み物を含む。養は教養費(本)、職業費はこづかいなど(写真提供/山崎美津江さん)
【写真】“我が家の1か月の予算”と「家事部屋」にある膨大な家計簿

「細かな家計簿でなくても大丈夫ですが、できればざっくりでよいので、食費、衣服費など項目を分けておくといいですね。記録することで“これは衝動買いだったな”と振り返り、出費のコントロールができるようになります。

 記録しないと、人間は都合の悪いことは忘れてしまいますからね(笑)」

 また、お金の管理がしやすいよう、定年後に向けて銀行口座を最低限に減らすとよい。

 “我が家の1か月の予算”がわかったら、次はパートナーと支出のすり合わせを。

「定年後の家計で苦労をしている家庭を見ると、どちらかが知らないうちに年金を使い込んでいることが少なくありません。年金が入ったその日に夫がパチンコで使ったという話も!

 ただでさえ、夫婦2人分の年金を合わせてやっとという生活になるのですから、きちんと家計を共有し、使える金額とどんな物やことにお金を使いたいかを理解し合うことが必須。それが老後のパートナーとの円満な暮らしにもつながると思います」