「日本一のレゴマスター」を決める審査員に
5月27日にTBS系でスタートした新番組『レゴ マスターズJAPAN』(毎週土曜午後4時30分~※一部地域を除く)も、審査員に三井さんありき、でなければ成立しない案件だ。
「海外で番組が始まったときから、日本で実現するにはどうしたらいいんだろうね、ということがずっとテーブルにありました。日本でやることが夢でした」と前出『レゴジャパン』の橋本さんは、待ちに待った番組開始を喜ぶ。
世界18か国で放送されている人気番組の日本版だが、「他国の放送と大きく違うのは、作っているところを前面に押し出しているところ。そこにこそものづくり大国としてのいいところが出るんじゃないか。ペアで挑むので、意見の食い違いや仲のよさを表せればより面白くなる」と番組プロデューサーの麻生邦浩さん(42)は狙いを明かす。
「審査結果が未確定の部分がある大会ですので、進行台本は書けますが、どうなるかわからない。先が読めないヒリヒリハラハラはある」と心配もしたが、そんな懸念はあっという間に消え去った。
リモート審査を経て、20組40人のリアルオーディションを開催。その結果、12組24人(当初の予定は10組だったが三井さんたっての希望で2組追加合格)が選ばれた時点で、「日本一のレゴマスターを競う番組。スキルの高い出場者が選ばれたので、すごい作品ができる前提で始まっている。(出場者が制作する作品が)大コケすることはないですね」と、もう1人の番組プロデューサーの福濱和美さん(49)は確証を得た。自身もレゴ ブロックに親しんでいる環境で、「子どもがちょうど7歳の男の子で、一緒にレゴ ブロックをやっています。身近な題材に関わることができてよかった」と、制作者としての幸せをかみしめる。
MCにはももクロの百田夏菜
スタジオで、三井さんから「お題」が伝えられた“レゴ ブロック ビルダー”が250万ピースの中から、自分のイメージに合ったブロックを収集し、戦いの火ぶたが切られる。「お題」は流出しないように、限られた人数で厳重に管理される。
パソコン、タブレット、手描きのスケッチ等、設計図を練り、組み上げる様子を、固定やハンディなど10数台のカメラが捉える。MCに「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子(28)、リポーターにお笑いコンビの「ザ・たっち」に「土佐兄弟」というレゴ好き芸能人をキャスティングできたことで、コメントの端々にレゴ愛をのせることに成功している。
制作のために与えられた時間は10時間に及ぶことがあるが、「“10時間ぶっ通しでできるんじゃないですか”とか、“どこで休憩入れましょうか”など、ビルダーの制作に関することは、『お題』をもとに三井さんと相談して決めます。インタビューでお声がけするのも“事前にこのタイミングでします”とお伝えして、それ以外にはいたしません。残り30分とか、アドレナリンが出ているタイミングは作ることに集中してもらいたいので」と麻生さん。
各組のできあがりを最初に目にした福濱さんは「想像を超えていた」と驚き、「何の説明書もなく『お題』だけで、人を驚かせるほどすごい仕上がり。本当にレゴ ブロックだけで作ったのか?と、いい意味でハプニングでしたね」と作品ファーストの番組ならではのよさをしみじみ感じたという。
収録中の三井さんは、各組の進捗具合をさりげなく見守りつつ、250万個のレゴ ブロックがあるバックピットで、レゴ ブロックのありかを案内したりしている。
その姿を、毎回収録に立ち会っている前出『レゴジャパン』の橋本さんは「本当に謙虚な方。いつも変わらない」とたたえる。こんな場面も目撃した。
「1回戦で脱落した参加者の方に、記念品をいくつか差し上げていたのですが、みなさんそれに、三井さんのサインをもらわれていた。レゴの神ですし、パイオニアですよね、日本人唯一ですから」
番組は全10回放送で、8月5日の放送で「日本一のレゴマスター」が決定する。優勝賞金は50万円だ。
「SNS上でも会社宛てにも、いい番組をやっているね、というプラスのご意見をいただいています。われわれとしては長くお付き合いしたいですね」と、麻生さんはセカンドシーズンへの期待を抱く。レゴジャパンの橋本さんも「素晴らしいスタートを切らせていただいた。希望としては続けたいですね」と両社の期待値は一致する。番組を見た子どもたちが、将来なりたい職業として「レゴ認定プロビルダー」を挙げる日が来るかもしれない。