本の印税も全額寄付

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【写真】「このころからイケメンの雰囲気」精神科医・藤野智哉さんの高校生時代の卒業アルバム

 藤野さんはコロナ禍に、本の印税を医療従事者のために全額寄付もしている。

「“そのほうがカッコいいじゃないですか”なんて照れて言ってましたけど、そうはいっても誰でもできることじゃありません。寄付って、額じゃないんです。できない人はできない。それができるのは、本当に稀有な人ですよ」

 メディアで見る、ゆるゆる&ふわふわした藤野さんとずいぶん印象が違うようだ。

「藤野くんには、粘り強さとしつこさがあるんです。ゆるくて優しくて、ふわっとした印象を与えるけど、中身はすごく気合が入っているし、頑固だし、負けないぞっていう気持ちがありますね。それに気づけない人は、最後までふわっとした人だと思うでしょうね」

 そのうえで、あくまでもベースは医師であることを大切にして活動していることが見てとれるという。

医師としての地盤がしっかりしていないと、日々の発信も嘘くさくなりますからね。それを感覚的にわかっているところが、藤野くんにはありますね」

 一方で、発信することで批判の目を向ける人もいるのではないだろうか。藤野さんは言う。

「メディアに出たり発信をしたりしていると、どうやっても誰かには嫌われます。批判的なコメントを見れば、それは心も乱れますけど、引きずらないです。

 僕が親しくしている現実の人たちは、いい人ばかりなので。ほかのことに意識を向けるようにしています」

 ネットで不特定多数の人にさらされているからこそ、リアルをしっかりしないといけないのだと、肝に銘じているという。

「本業である医師の仕事でケチをつけられないように、しっかりやらなくちゃいけない。それが仕事のモチベーションにもなっています」

 優しい笑顔で語りながら、信念を持って発信をしていることがよくわかる。藤野さんの軸となっているものは、いったいなんなのだろうか。

「いろいろな発信をしている分、特別な治療ができるんじゃないか、と思われることがあります。でも医師として医療費をとって治療するということは、地道な治療をきちんとやること。だから今のところの軸は、日々患者さんと向き合い、標準治療をしっかりやっていくことですね。

 もし、僕がよくわからないカウンセリング商法を始めたら、“ああ、藤野は軸を捨てたんだな”と思ってください(笑)」