7月1日の法改正から約2週間、もとより規制緩和が懸念された電動キックボードだが、利用者に対して冷ややかな目が向けられようとしている。
最高速度20キロまでの「特定小型原付」に区分された電動キックボードの場合、16歳以上なら免許不要、ヘルメット着用も努力義務、それでいて車道や自転車専用通行帯、時速6キロ以下であれば歩道も走行できる万能ぶり。
街中にはシェアリングサービス会社のポートも見かけるようになり、新たな移動手段として、特にトレンドに敏感な若者を中心に普及するものと思われた。ところが蓋を開けてみればーー、
「連日にわたって飛び込んでくるのはネガティブな話題ばかり」とは全国紙社会部記者。
7月7日には北海道で60代の男性が電動キックボード走行中に転倒。意識不明の重体で搬送され、一命をとりとめるも重い脳挫傷で意識がはっきりしていないとのこと。男性が運転していたのは、免許を要する「一般原付」に区分されたキックボードだったようだ。
「男性が操作を誤ったのか、体調に何らかの異変が起きたのか。もしくはキックボード自体に問題が生じたのかはわかりませんが、法改正から1週間での事故だけに全国ニュースでも大きく取り上げられました」(同・全国紙記者、以下同)
そんな不穏なスタートに、さらに世論に不安感を与えたのが相次ぐ飲酒運転のニュースだ。
7月6日、大阪市内で33歳の会社員男性が乗っていた電動キックボードが、交差点内でトラックと衝突する事故が起きたのだが、男性の呼気から基準値を超えるアルコールを検出。道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いも持たれている。
翌7日深夜の都内では、19歳の男子大学生が運転する電動キックボードが停車中のタクシーに追突。事故もさることながら、未成年にも関わらず昼頃から約10時間にわたって飲酒をしていたことも明かされた。
利用者の常識と良識が問われる乗り物
「事故を起こす確率が通常時の9倍ともされる飲酒運転(2021年度の警視庁統計)と、運転やバランスを取るのが難しく無防備な状態で乗るキックボードは相性サイアク。双方が無事だったことは幸いですが、他者を巻き込む大事故につながる可能性も。
“ちょっとそこまで”の感覚で気軽に乗れるだけに、つい気が緩んでしまうのかもしれませんが、運転する人物の常識と良識が問われる乗り物と言えるのかもしれません」
SNSでは他にもニュースにはなっていない、二段階右折や信号の無視、2人乗りやスピード過多の危険運転、ヘッドホン着用、ながらスマホの片手運転などの身近で目撃した“違反”行為が次々と報告されている。