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ー 脳梗塞の2年後、乳がんは左右に……

 

 忙しく働く著名人にも闘病経験者が多い乳がん。今や日本では、日本人女性の9人に1人が罹患するといわれている。しかし、早期発見できれば、がんの中でも生存率は高い。がんサバイバーがどのように乳がんを見つけて治療をし寛解に至ったのかをご紹介。病に負けない令和の生き方とは──。

 2012年、乳がんにより左右両乳房の患部摘出手術を受けたことを公表した麻木久仁子さん(60)。40代以降、毎年夏に人間ドックを受診しており、50歳になる手前に受けた際に判明した。

脳梗塞の2年後、乳がんは左右に……

 いつもどおり、検査結果を聞きにクリニックへ行くと、医師から両胸に「小さな影があるような気がします」と言われ、大きな病院での精密検査をすることになる。もちろん自覚症状もなかった。

「今まで人間ドックの結果は、どの項目も『A判定』ばかり。脳梗塞のときに全身を検査したこともあって、安心していたのでごく初期とはいえ、乳がんが見つかったことが最初は信じられなかったんです」と語る。

 左右両方の乳房を切開し、中の組織を取り出して行われた精密検査の結果、右胸は部分切除。左胸も同時に切除手術をし、がん細胞をすべて取り除くことに成功する。

 術後は、左右の胸全体に放射線照射治療を行い、その後、ホルモン薬を5年間服用し続ける。幸運にも後遺症が残ったり、再発するということもなかった。

「脳梗塞と乳がん、2つの病気を経験しても生まれ変わったような気がするといった変化はありませんでした(笑)。けれど、生活習慣病などにも縁がなかったので、『いつでも誰でも病気になってしまう』ことを実感できたことは学びになりましたね」(麻木さん、以下同)

 治療後、麻木さんは薬膳に出会い、国際薬膳師や国際中医師の資格を取得。今では薬膳の講師を務めつつ、食の大切さを広めている。

「コロナ禍には計画していた仕事がなくなったりして途方に暮れましたが、娘に韓流アイドルBTSのDVDを見せられてからは“推し活”をスタート。この年になっても新しいことを楽しめることがうれしいですね。ここ最近でやっと自分のことがわかってきた気がしています」

 さらに、今年の春には還暦を機に放送大学に入学した。麻木さんのワクワク探しはこれからも続く。

(構成・文/鈴木晶子)