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ー ABCお笑いグランプリで2年連続準優勝

 

 かもめんたる・岩崎う大が、注目のお笑い芸人の今後を予想する連載企画。今回の芸人は令和ロマン。

ABCお笑いグランプリで2年連続準優勝

 令和ロマンは去年のM-1グランプリの敗者復活でオズワルドに続く2位になったり、ABCお笑いグランプリでは2年連続準優勝という、華々しい結果を残している若手のホープです。

 ボケの高比良くるまくんとツッコミの松井ケムリくんは慶應義塾大学のお笑いサークルで出会ったそうで、学生芸人出身の漫才コンビでもあります。

「令和ロマン」という名前からもわかるように、彼らは時代をいち早く取り入れていくフットワークの軽さが魅力です。

 記憶に新しいM-1グランプリの敗者復活では視聴者投票だということを踏まえて、ドラえもんなどの幅広く伝わるテーマを取り入れて、見事なものでした。

 通常、ネタにメジャーな作品を使うことは、賞レースではあまり評価されません。笑いがパロディーっぽくなったり、芸人の力というより元ネタの力を借りた笑いの取り方だと判断されてしまうからです。

 同じ笑いの量だったら、そういうメジャーな作品をネタに入れてないほうに点をつけたくなるのが審査員の心理だと思います。

 ところが、令和ロマンは堂々とそれをやって、見事に敗者復活で2位という結果を残しました。

 このへんが彼らの強さで、それで勝てるならみんな彼らのまねをしたらいいわけなのですが、そう簡単な話でもありません。普通は、みんな一年間をかけて調整してきたガチガチのネタをやります。

 変に視聴者投票ウケの良いネタをやってスベるのも怖いでしょうし、そんなネタが簡単にできるわけもありません。しかし、令和ロマンは敗者復活に向けて、ネタを変えたのだと思います。そして勝ち上がった際には、決勝用のネタをぶつけていたと思うのです。恐るべし、フットワークの軽さと勝負勘です。

 また、令和ロマンの魅力として、2人から漂う有能感というのがあると思います。2人とも学歴もあり、知的で清潔感がある。有能な若者2人が面白おかしく世の中の流行りをお笑い化していくとき、彼らは輝き出します。

 先日のABCお笑いグランプリの決勝で披露した恋愛リアリティーショーのネタも、全体で恋愛リアリティーのファニーな部分を抽出して、こんな展開もありだよね? と楽しみながら作られたようなノリの良さがネタ全体からあふれていました。

 その抜けの良さは、ドラえもんなどのネタを扱うときも、しっかりと作用していて、2人がやると不思議と悪臭を放つことなく見られるのだと思うのです。

 実は先日、ボケのくるまくんと飲みに行ったのですが、僕がnoteという媒体で書いたABCお笑いグランプリの講評をくるまくんが購入してくれて、さらにその記事をTwitterでオススメしてくれたことがきっかけでした。

 そのへんをオープンにしていく感じがまさに令和ロマンの放っている魅力につながっていると思うのです。

 ちなみに、そのとき、くるまくんから教えてもらったのは、ツッコミのケムリくんは、お金持ちの坊ちゃんらしく「欲がない」そうです。

 本来観客を代弁するはずのツッコミが「欲のないお坊ちゃん」というのは、コンビとして、なかなかに面白いポテンシャルを秘めていると思いました。そのへんのケムリくんの個性がより浸透していくことで2人はネクストレベルに上っていくのではないでしょうか。

 そして、そのときには令和ロマンが令和ドリームをつかんでいると予想します。

岩崎う大 1978年東京都生まれ。早稲田大学卒。かもめんたるとして槙尾ユウスケとコンビを結成。キングオブコント2013年優勝。お笑い芸人だけでなく、脚本家、放送作家、漫画家として多彩に活躍中