その後、占い師に転身したのはなぜか。
「占いに救われたという側面もあるんです。あのときひとりだったら多分生きていられなかった。だから、今度は自分が寄り添う側に回ろうと思ったんです」
「上げ鑑定」で“カモ”を引き留める
占い師側に回って見えたノウハウもある。
「この業界には『上げ鑑定』という言葉があります。相談者を持ち上げる鑑定のこと。とにかく肯定してあげて、自分から離れられないようにさせる。
ほかには『引き伸ばし』というのも。例えば相談者が電話を切ろうとしたら『いま、天使がなにかを伝えてきています』とか言って。天使の話を聞いている間にどんどん時間が過ぎていく。一部にはそういうケースもあります」
いいように使われては、お金も時間も溶けていく。
「利用するのは月に1回とか1万円だけと決めて紙に書き、目につくところに置いておくのがおすすめ。相手は友だちでも家族でもない“業界のプロ”と心得て、占い師をうまく利用するスタンスでいることが大切です」
家族や大切な人が占い依存になっていたらどうすればいいのだろうか。
「『もしよかったら私にもお話聞かせてくれない?』と聞いてみてください。間違っても『占いなんて騙されてるだけだからやめなよ』と言ってはいけません。占い依存の人にとって、占いは人生のすべてです。人生ごと否定することになってしまうのです」
一歩間違えると、取り返しのつかないことになる危険性もあるとのこと。
「深夜に『死にたい』って言って電話してくる人、たくさんいます。そういう意味で、依存しているからと無理に引き剥がしてはいけません。占いに頼ることでギリギリ生きていられるのかもしれない。
だから、占い料金が引き落とされるクレジットカードを没収するのも危険。心療内科のカウンセラーなどの力を借りながら、慎重に対処するべきです」