「そんな不義理なことってないですよね」
紀子さんが「できることならやり直したい」と語るのはまさにこの瞬間。実は親しかった友人はおろか、一緒に仕事をしていたマネージャーにも事前に結婚を報告することができなかったのだ。
「いろんな人が介入したことで、自分の結婚なのに流れをコントロールできなかったんです。おそらく周りの皆さんは私の結婚をテレビで知ったはず。そんな不義理なことってないですよね」
とりわけ紀子さんの記憶に強く残っているのが当時、仕事の送り迎えをしてくれていた大学生の兄弟。よき友人として紀子さんを支えてくれていたという。
「おふたりともいまだにフルネームで覚えています。突然の結婚で驚いたと思いますよ。そうそう、もうひとり、すごく親しい検事さんもいました。保護者のような存在でその方にもお礼を言いたかった……。ね、こんなふうに話していると次々と後悔が出てくるんですよ」
一連の騒動を見て、状況を気遣ったのだろう。結婚後、彼らが紀子さんに接触してくることはなかった。
「もしもやり直せるなら、自分の口から結婚をご報告して、皆さん、結婚式に来ていただきたかったですね。それからお相撲もご招待したかったです。そういうことが悔やまれます。こんなに時間がたってしまったけど、お礼を言わせてほしいです」
藤田紀子(ふじた・のりこ)●1947年生まれ。'67年に松竹株式会社から女優デビュー。'70年に当時、新小結だった先代・貴ノ花と結婚して芸能界を引退。2001年の離婚をきっかけに芸能活動を再開し、現在は女優、タレント、コメンテーターとして活躍。
(取材・文/中村未来)