菊池さんおすすめ肉・魚以外のタンパク質

 物価高騰で肉も魚も高いし、毎食の調理も手間……という場合は、市販のタンパク質豊富な食材をどんどん使ってほしいと菊池さん。

「第一優先は、タンパク質の摂取量を増やすこと。サラダチキンやツナ缶、ハム、チーズ、ちくわなど、“そのまま”“切るだけ”で、お手頃かつ手軽にタンパク質を取り入れられる加工食品を副菜に足すなどし、少しでも摂取量を増やしましょう」

 タンパク質の供給源がいつも同じにならないようにするためにも、市販の食材を上手に使うのは賢い選択。

 ただし、加工食品は塩分が多めになりがちなので、味つけには注意。野菜をたっぷり加え、いつもより薄味を意識しよう。

卵/6.2g(1個50g)

 アミノ酸がバランスよく含まれた良質なタンパク質がたっぷり。免疫細胞を増やしてくれる亜鉛も豊富。1週間で6~7個、コレステロールが気になる人は2~3日に1個が目安。消化がよい半熟卵で食べるのがおすすめ。

納豆/7.3g(1パック50g)

 血液をサラサラにする酵素、中性脂肪を落として脂肪の代謝を促す「大豆サポニン」、血糖値の急上昇を抑える水溶性食物繊維など、認知症のリスク低減に役立つ栄養素を豊富に含む。食べるのは週に1~2パックを目安に。

厚揚げ/20.6g(200g)

 同じ大きさのサーロインステーキと比較すると、タンパク質は同量なのにカロリーはほぼ半分。焼く、煮るなど調理用途も多様で使い勝手がよく、ボリューム感もあるので主菜にも。肉や魚より安価でお財布にもうれしい。

牛乳/4.5g(200ml)

 骨粗鬆症からの寝たきりを防ぐためにはカルシウムが必須。牛乳ならコップ1杯(200ml)で1日に必要なカルシウムの1/3が摂取可能。さらに、免疫力を上げてくれる成分も。栄養素のバランスがいい普通タイプを選んで。

危険な食べ方2:野菜は質より量! 野菜ジュースで補う

色の濃い野菜が老化も免疫力低下も防ぐ!

 “野菜は何でもたっぷり食べる”が基本。その上で、

「食が細くなる年代は、より身体に重要なものから優先順位をつけて食べてほしい」

 と菊池さん。特に60代が食べたいのは、緑黄色野菜。かぼちゃやブロッコリー、モロヘイヤ、にんじん、トマトなど、断面の色が濃い野菜を選べば大丈夫。

「豊富に含まれているビタミンA、C、Eが老化を抑えて、免疫力の低下も防ぐというダブルの効果を発揮してくれます」

 また、野菜は全般的に腸内の有用な菌を増やす不溶性食物繊維が豊富なので、緑黄色野菜を優先しつつ、ほかの野菜もプラスして食べればなおよし。

 さらに、生で食べられる野菜は、そのまま食べるのが望ましい。

野菜は、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として身体の外に出してくれるカリウムを豊富に含んでいます。しかし、ゆでたり煮たりすると約30%が溶け出てしまうので、生野菜でカリウムを逃がさず食べることを心がけるのがよいですね。

 日本人の食生活による死因の1位が“塩分過剰”という研究結果もあるので、意識的に生野菜でカリウムをとりましょう」

 一方、100%の野菜ジュースやスムージーで野菜をとるのはおすすめできない。

野菜不足を補うには便利でよいですが、ジュースだけに頼ってはいけません。野菜そのものを食べるときと比べて、どうしても栄養成分が損なわれていると心得ておきましょう」

 市販のジュースやスムージーの場合、糖分も多いので、1日1本(200ml)を目安に、あくまで補助食品として捉えること。

迷ったら選ぶべき野菜

 緑黄色野菜を両手に1杯程度1日350gを目指して食べよう!

※写真はイメージです
※写真はイメージです