彼らはブランディングに大成功していたが……

 本当にいい人ならば、自分たちのことを「いい奴ら」なんて言わないもの。

 例えジョークだったとしても、ここまでの炎上の数々を振り返れば、その痛い発言がさらに墓穴を掘ることになると想像できなかったのだろうか。

 さて、感情論は置いておくとして、フラットな視点でコムドットを見ると、彼らがブランディングの舵取りに失敗していることがわかる。

 表に出る人気商売ならば、世間の感情を読み取ってパブリックイメージをコントロールする必要があるわけだが、リーダーのやまとがその本質を理解していないのだろう。

 厳密に言うと、かつての彼らはブランディングに大成功していた。けれど、すでに次のフェーズに入っており路線変更をすべき時期なのだが、それをわかっていないのだと思う。

 コムドットは「地元ノリを全国へ」をスローガンに掲げて活動しており、ちょいワルでヤンチャな雰囲気を打ち出し、同世代や彼らよりさらに下の世代から熱烈に支持されていた。

 チャンネル登録者数を50万人、100万人と増やしていった彼らは、もしかすると自分たちがおもしろいと思うことを自然体でやっていただけなのかもしれないが、結果的にブランディングが大成功しバズりまくったのだ。

コムドットが見習うべきはあのオッサン芸人

 だが、それまでは若者たちだけのカリスマで多くの大人たちは知らない存在だったが、チャンネル登録者数が200万人、300万人と増えていくにつれ、ネットニュースなどでも取り上げられるようになり、広い世代に認知されていく。

 そして、チャンネル登録者数が400万人前後にもなったことで日本屈指のYouTuberとして国民に知れ渡ったわけだが、ここからさらに“上”を目指すのならば、もう次のフェーズに入っていたことに気付くべきだった。

 すでに彼らは「ちょいワルな若者」から「昔はワルかったが今は常識ある大人」に、ブランディング変更しなくてはいけないフェーズに入っているのである。

 たとえばヒロミ。30代ごろまでは元ヤン臭をビンビンに放つワルな言動で人気を博していたが、芸能界から距離を置いて復活してからは、典型的な「昔はワルかったが今は常識ある大人」に路線変更している。

 今のコムドットが見習うべきは、まさにヒロミのブランディングチェンジなのだ。

 コムドットは全員、今年度で25歳になる同級生。まだまだ若者だし、結成してから5年しか経っていない。ヒロミのようなオッサンのブランディングを真似るなんて……と考えているとしたら甘い。

 ネットの流行り廃りはテレビなんて比じゃないぐらいにスピーディ。彼らはもう四捨五入すれば三十路の大人世代で、結成5年も経っているベテランYouTuberなのである。

実は国民的タレント・みちょぱと同学年

 みちょぱこと池田美優を思い出してもらいたい。

 彼女はギャルのような見た目をキープしつつも、どの芸能人よりも倫理観がしっかりしているし、言葉遣いこそ今でもフランクだが、誰よりもコメントに筋が通っている。テレビに出始めた当初はゴリゴリのギャルタレントだったが、今や老若男女に愛される国民的タレントに成長しているのはご存知のとおり。

みちょぱこと池田美優
みちょぱこと池田美優

 そんなみちょぱとコムドットたちは同学年。この事実が何を意味するのか、彼ら自身がきちんと理解しなくてはいけないのではないだろうか。

 今いるファンとだけ結束を強めていくつもりなら、「ちょいワルな若者」というブランディングのままでいいのかもしれない。だが、ここからさらにファンを増やして日本一のYouTuberを目指すならば、「ちょいワルな若者」にしがみついている場合じゃないと一日でも早く気付いてほしい。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi