自分の信念を貫く“覚悟”がなかったのが問題

 それと、この謝罪撤回に関するあやなんの主張は、シンプルにとてもダサい。

 彼女は「ネットで本音しか言ってないけど」と述べているので、この言葉が本当ならば、当時の謝罪も本心からだったということになる。

 本心からの謝罪を今になって撤回したのであれば、彼女がまず真っ先に攻撃すべきは、コロッと本音が変わってしまった“あやなん自身”なのではないだろうか。当時、本心から謝罪した自分を嘆き、一番に糾弾すべきなのだ。

 また、もし当時の謝罪が本心からでなく上辺の言葉だったのだとしたら、「ネットで本音しか言ってないけど」というこの言葉がウソということになる。

 当時謝罪した本心がコロッと変わって、今は強気になって謝罪撤回しているのだとしたらそのスタンスが非常にダサい。当時はウソの謝罪をしていたのだとしたら、当時も今もウソばっかり吐いていることになり、非常にダサい。どちらにしてもダサいのである。

 他者を責めるのではなく、ポリシーを貫けなかった過去の自分を責めて、自分のダサさを呪ったほうがいい。

 余談だが、このあやなんの謝罪撤回宣言に対して、堀江貴文ことホリエモンは共感・賛同している。ホリエモンも緊急事態宣言下でも毎晩飲み会をしていたそうで、「あのときに叩いてたやつクソですね」とあやなんを擁護している。

 ただ、ホリエモンは「私なんか絶対謝らないもんね。なにが悪いんだよっていう話になっちゃうんで」とも発言しており、もし彼が当時、あやなんのように世間から大バッシングを浴びても、自分の信念を貫いて謝罪なんてしていなかっただろう。

 あやなんが今回の謝罪撤回宣言で述べていたようなことを当時から思っていたのであれば、ホリエモンの言うとおり、謝ったりせずに突っ張ればよかったのだ。大衆からさらに非難轟轟になることも“覚悟”のうえで、ポリシーを貫いていればよかったのだ。

 穿った見方をすると、彼女が今回の謝罪撤回に至ったのは、大衆のコロナに対する熱量が下がっているタイミングだったから、強気になれただけなのではとも考えられる。

 大衆という“相手”が猛烈な攻撃態勢のときは屈してすぐに謝罪して、大衆のコロナに対する熱量がもう下がっているときを見計らって、今なら“相手”の攻撃力がだいぶ弱まっていると見越して謝罪撤回したようにも思えて、そこもダサく感じてしまうのである。

 だから、あやなんは大衆がコロッと変わったかのように指摘しているが、本当は彼女自身が相手(大衆)の勢いが落ちていると見てコロッと態度を変えて、ヒヨッていた自分を棚に上げて、強気に出ているだけなのではないだろうか。

 いずれにしても、ホリエモンとあやなんの違いは“覚悟”の強さの差だろう。マジョリティーを敵に回すのであれば、途中で屈するような半端な信念ではなく、絶対に折れない不屈の信念を持ってからにしたほうがいい。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi