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全国的に市街地などで人間の生活圏でクマが目撃され、人への被害が増えている昨今。10月18日には東京・町田市の山中にある宿泊施設でも、クマが出没した。
環境省によると、全国でクマによる被害に遭った人は、今年4月から9月までで109人と、過去最悪の件数になっている。一体、自然界で何が起こっているのか?
「今年は多くの地域で、クマが越冬するために必要なエサのどんぐりが不作なんです。山の中にエサがない状態なので、市街地まで出てきているということと、出没を加速させている要因のひとつに、クマの分布拡大があります」
クマの数が増えた?
こう話すのはクマの生態に詳しい、石川県立大学の大井徹教授。環境省で行っているクマの分布調査では、2004年から'18年の間に4割も分布が広がっているという。
「私の住んでいる石川県では、面的に広がりつつも市街地周辺、金沢市や小松市といった中規模の市街地周辺にもクマが常にいるような状態になっています」(大井教授、以下同)
分布が広がったということは、クマの数が増えているということなのだろうか?
「個体数調査をしていないのではっきりとは言えませんが、山奥でクマの数が増えた可能性もあります。別の理由としては、市街地や集落の周辺にあった里山の森林が再生した、ということも挙げられます」