芸人にとって『徹子の部屋』が鬼門なのは、その特異なシチュエーションもあるという。霜降り明星のせいやいわく、だだっ広いスタジオにポツンとあのセットがあって、暗闇の中それだけが浮かび上がっている。
地獄の空気も友近は演歌歌手になりきる
いざセットに入るとスタッフすら見えなくなって、悪夢に迷い込んだような感覚だったそう。さながら、芸能の大魔王の部屋に突如、召喚されたようなものだろうか。カトリーヌさんがこれまで最も恐ろしかったのは、友近が持ちネタの大御所演歌歌手・水谷千重子を披露したとき。
「徹子さんはモノマネが大好きなので、あれやってこれやってと前半はご機嫌だったんですけど、衣装を着替えて高飛車な水谷千重子キャラを演じ始めたら、それがまったくお気に召さなかったようで、恐ろしい空気になったんですよ。
友近さんも芸人としての意地があるから大御所演歌歌手を演じ続ける。でも、徹子さんはその世界観に絶対乗ってくれない。ネタが終わるや、『面白くないものをお目にかけて、みなさま申し訳ありません』って徹子さんが謝ったという。
もう背筋が凍るような恐ろしい時間でした。ただ、徹子さんに『まだ続けます?』と言われてもキャラを貫き通した友近さんにも芸人としてのすごみを感じました。ある意味、神回でしたね」
神回といえば、魔王・徹子がお笑い怪獣・明石家さんまと相対したときもなかなかの見ものだった。
「徹子さんはさんまさんのことが大好きで、『どうしてそんなに面白いの?』ってずっと聞いてて。さんまさんが『(面白いのは)あんたがや』って返したら、徹子さんが突然『あんたが~、高砂や~』って歌い出して、さすがのさんまさんも一瞬絶句(笑)。
お笑い怪獣さえも凍らせる徹子さんのすごさを垣間見ました。さんまさんは別格として、徹子さんに一番ハマった芸人はねづっちさんじゃないかな。徹子さん、『整いました』って聞くとお母さんの『ごはんできたよ』と同じくらいうれしくなると言って、そこから謎かけ千本ノックがスタート!
話の途中でなんの脈絡もなく『パンダ』とか『プロパンガス』とかお題がぶっこまれる。それにねづっちさんが全部答えていくという(笑)。この回も壮絶でしたね」
謎かけやモノマネ以外に徹子さんが大好きなのが筋肉。アスリートがゲストのときは必ず触ってくるというから、彼女の前では番組コンプライアンスなどというのはあってなきがごとくだ。
「水泳の入江陵介さんは胸筋、体操の内村航平さんは上腕二頭筋、フィギュアの高橋大輔さんはなんと大臀筋! お尻を触って、『かたい! これ筋肉なの!?』って大はしゃぎ(笑)。俳優でも竹内涼真さんのときは、どうすればこの筋肉の素晴らしさがテレビに映るのかしらってカメラの角度まで指示してました(笑)」