俳優業ではお茶の間の人気者に

 一方で俳優業は心から楽しむことができ、話題のドラマへの出演が続いた。陣内孝則主演の学園ドラマ『愛しあってるかい!』(フジテレビ系)で生徒役、『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)では主演の浅野温子の妹役を演じ、“健康的でかわいい律ちゃん”として一躍お茶の間の人気者となる。

「高校時代は仕事と学業の両立で忙しく、とにかく必死で、振り返ると人生で一番大変な時期でした。芸能活動に専念するため、途中から堀越学園高校に転校しましたが、仕事が終わってから夜、学校に行って補習を受けたり。でもスタッフさんが修学旅行に一部でも参加できるよう、京都ロケを用意してくれたりして、ありがたいサポートもあったんです」

 10代後半から20代前半の時期は、'80年代後半~'90年代にあたり、ちょうど世の中はバブル。忙しい仕事の合間に、遊びも思いっきり楽しんだ。

「海外ロケも多かったです。世の中全体が浮かれていた時代で、遊びと仕事の境目もあいまいでしたね。今のように『アイドルは恋愛禁止』みたいな風潮もなく、もっと大らかな時代だったので、みんな普通に恋愛もしていましたよ」

『王様のブランチ』(TBS系)初代司会に抜擢され、バラエティー番組でも活躍する。芸能界の第一線で長く仕事を続けることは容易ではないが、田中はいつも周りの人にかわいがられてきた。

「お仕事が途切れなかった理由のひとつは、誰に対しても裏表がない性格と態度だったからだと思います。アイドル時代、挨拶してもプイッと無視されたり、相手によって態度が変わる出演者もたくさんいました(笑)。私はあんなふうにはならないと決めて、共演者やスタッフのみなさんにはいつも丁寧に接してきました」

 共演者やスタッフとすぐに仲よくなり、芸能界の友達も多そうに見える。

「意外と芸能界の友達は少なく、一般人の友達のほうが圧倒的に多いんです」

 芸能生活が長くても自然体でいられるのは、そんな田中の交友関係にあるのかもしれない。