美容師の両親のもと、大家族で育つ

 誰からも愛される田中のキャラクターは、家族から受け継いだところも大きい。田中の両親は東京・世田谷で祖母の代から続く美容室を経営していた。中学生のころまでは、曽祖母、祖母、父、母、弟、妹と7人の大家族で暮らしていたという。

「アニメの『サザエさん』のようなにぎやかな家庭で、商店街のご近所さんとも仲よしでした。地元で愛されてきた美容室で、今は弟が継いでいます。一時は芸能界をやめて、私も美容師になろうと思ったこともありました。父は人が喜ぶ顔を見るのが大好きで誰からも慕われる存在だったんです」

 そんな父は、がんの闘病を経て、2022年に71歳で亡くなった。

「90キロくらいの大きな身体で、ハーレーを乗り回して、金髪でジーパンをはいている、ちょいワルオヤジ風な人でした。思春期に入ると父を嫌いになる娘も多いですが、私はそんなことはなかった。友達に羨ましがられ、友達からも人気のお父さんでした。私が沖縄に家を買ってから、父が仕事を引退して移住してきて、5年間沖縄で暮らしていました。毎日テラスから海を眺めて日焼けして、好きなお酒を飲んでタバコを吸って、好き放題だったので、幸せだと言っていました。もう少し長生きしてほしかったけど、父は十分楽しんだので、私も後悔はないです」

 田中といえば、45歳のときに沖縄に家を買って移住し、世間をびっくりさせたことも記憶に新しい。

45歳のときに沖縄に家を買い移住。亡き父もリタイア後一時期同居した
45歳のときに沖縄に家を買い移住。亡き父もリタイア後一時期同居した
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14歳のときに、仕事で初めて沖縄に行ってダイビングを体験しました。そのとき海がとてもきれいで、沖縄に魅了されたんです。18歳のころには、ダイビングのライセンスも取得し、毎年沖縄に行くように。世界中の海に行きましたが、沖縄の海が一番好き。沖縄で暮らすことが夢になったんです。

 10年間物件を探し続け、やっと海が目の前の理想の家を手に入れることができました。中古物件を購入して、リノベーションし、ヨガスタジオもつくりました。東京で仕事をして、遊びと生活は沖縄で。好きなところに住んで、好きなことをして生きていくと決めているので、楽しいですよ

 沖縄では朝からサーフィンをしたり、近くの畑で南国フルーツを育てたり、自然の中で暮らしている。

「家から夕日が見えて、季節によって夕日が沈む位置が変わるんです。沖縄に来てから自然のリズムを感じて、自然に感謝しながら生きることができるようになりました」

 地域にもすぐに溶け込み、近所の人たちと一緒にホームパーティーをするほど仲よしだ。今年からは母が沖縄に移住してくることが決まり、家族の絆もゆるぎない。

「父と祖母が昨年亡くなって、母にとっては72歳にして初めての沖縄暮らしなので、とっても楽しみにしています。旅行や好きなものを食べに行ったり、自由に好きなことをさせてあげたいですね」