大谷が残留すればこれからも過ごすことになるのが、エンゼルスが本拠地を置くアナハイム。ロサンゼルス市街地から車で40分ほどの距離にあるアナハイム市では、エンゼルスも関係する“気になる問題”も起こっている。
「エンゼル・スタジアムはアナハイム市が保有していて、球団は球場を借りている立場。球場とその周辺の土地をエンゼルスのオーナー、モレノ氏が共同経営する企業が買い取り、再開発を進めることが2019年に決まりましたが、2022年に当時の市長のシドゥ氏に汚職疑惑が浮上し、辞職したことで白紙に戻っています」(前出・スポーツ紙記者)
アナハイムで起きた汚職事件
この再開発や汚職事件はどういったものだったのか。アメリカで政治や経済、スポーツなど、幅広い分野を取材してきた在米ジャーナリストの志村朋哉さんに話を聞いた。
「エンゼルスと市では、今後のリース契約をめぐって、本拠地移転の話もありましたが、アナハイムに残るということになり、その中でモレノ氏が買い取るという案が出てきました。市が相場より安い価格で売る代わりに、モレノ氏はその周辺の再開発を進める計画で話がまとまり、市議会も承認しました」
ところが、その中で汚職が発覚したのだ。
「当時の市長だったシドゥ氏が交渉の中で、球場がある土地の査定に関する資料をエンゼルス側に流してしまいました。シドゥ氏がその見返りに“この交渉が終わったらエンゼルス側に献金を求めようと思う”と話していた音声が内密に録音され、発覚したことが問題になっています。
アナハイムにはエンゼルスやディズニーランドがあることから、全米でも大きく報じられ、市議会も一度承認した売却を白紙に戻しました。シドゥ氏は司法取引の結果、罪を認めており、エンゼルスやモレノ氏は関わっていないとされ、罪に問われていません」