お尻の骨が浮き出てお腹はぽっこり

 気持ちはひとまず安定しても、摂食障害がもたらす身体へのダメージは大きい。

「体力はかなり落ちています。寝るのも体力って必要なので、不眠症にもなって、30分に1回は目が覚めてしまう日が続いていて。

 筋肉はほとんどないので、お尻の骨が浮き出ていて、お腹は逆にぽっこり膨らんでいる感じ。栄養がとれていないので、立ちくらみもするし、抜け毛もひどい。お風呂場はもうホラー映画みたいになっちゃってます」

 心身のコントロールは難しく、常に不調がつきまとう。それでも芝居となると一転、女優の顔に切り替わる。

「アドレナリンが出るんですよね。もう周りが何も見えていないというか。この前久しぶりにお芝居をしたけど、すごく楽しかった。身体がちゃんとお芝居を覚えてた。やっぱり天職なんだと思いました」

最近交際している男性はとても優しく受け止めてくれる、とインスタグラムで報告した遠野なぎこ 写真/本人提供
最近交際している男性はとても優しく受け止めてくれる、とインスタグラムで報告した遠野なぎこ 写真/本人提供
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 現在は月に1回病院に通い、投薬治療を続けている。15歳から30年近く摂食障害と闘ってきた。これから先、どう病気と向き合っていくのだろう。

「この病気と共存していくしかないんでしょうね。普通の人みたいに食べるというのはちょっと厳しいんじゃないかと思います。例えば海外に行ったりとか、環境を大きく変えたりすると良くなることもあるんでしょうけど。でもいつ爆発するかわからない爆弾を抱えている状態なので」

 自身の摂食障害を公表し、闘う姿を発信する。そこには同じ病気を患う人たちに対するひとつの思いがあるという。

「孤独じゃないよっていうことを伝えたい。摂食障害でもちゃんと仕事もできるし、笑顔でいられる。

 私も強く生きていくから、その姿を見ていてほしいなって思います。陰で吐いたり拒食になったりしてる人間がここにもいるんだよと、でも笑顔で頑張っているんだと思ってほしい。

 周りに理解されないし、死にたくなるくらい苦しい。でもひとりじゃないからねと、わかってる人間がいるんだよって、伝えられたらと思っています」