相続税がかかりそうなら、生前贈与を今すぐ検討すべし!
相続税や贈与税の仕組みも'24年1月から変更となる。
「変更の影響を受けるのは、相続税がかかる額の財産を持っている人ですが、近年、あてはまる人が増えているので注意が必要です」
その相続税を減らす方法としておなじみなのが生前贈与だ。贈与税がかからないよう、1年につき110万円以下ずつ親族に贈与するというもの。
今回の改正で、この方法が狙い撃ちされた。
「これまでは、亡くなる前の3年以内に贈与された財産に関しては、相続税の計算対象になっていました。これが拡大され、亡くなる前の7年以内に贈与された財産が対象になります」
この「死亡7年前の贈与から」というルールが適用されるのは、'24年1月以降の贈与だ。一方、今年年末までの贈与については「3年前ルール」が適用され続ける。2027年1月から'30年末までに亡くなった場合、今年の年末までに贈与した財産は計算対象外だが、'24年1月以降に贈与した財産は対象になるというわけだ。
「年内の駆け込み贈与を無理してやる必要はありませんが、いずれ贈与するつもりがあるなら、年内にやったほうがいいのか、一度検討したほうがいいと思います」
自営業やフリーは領収証の保存方法を早めに見直すべし!
自営業やフリーランス、そして会社員がチェックしておきたいのが、電子帳簿保存法の改正。'24年1月から、事業をめぐるお金関係の書類の保存のルールが変わるのだ。
「ルールを守らなかった場合、自営業なら税務調査が入った際に厳しく調べられ、あまりにずさんだったり悪質だったりすると、税務署が計算した税額で払わされたり、青色申告の承認が取り消されることも。会社員なら立て替えた経費が認められず、自腹を切るはめになる可能性があります」
1月以降のルールは……。
(1)帳簿類はデータで保存する。
(2)紙で受け取った領収証などはスキャナーやスマホで読み取り、データ化して保存。
(3)メールやダウンロード機能でやりとりしたお金に関するデータ(領収証や請求書など)は、データで保存する。
「特に面倒なのが(3)です。税務調査が実施される事態に備えて、データが改ざんされていないか証明するために、タイムスタンプをつけるといった手間が必要に。2年前の売上高が5000万円超えなら、領収証や請求書などのデータを取引年月日、取引先、取引金額で検索できるようにしておかなくてはなりません。これらは会計ソフトのオプションなどで可能になります。なお、会計ソフトを使えない等の事情がある場合は、出力書類の日付・取引先別に整理して保存するなど一定ルールを守ればOKですから税務署や税理士に相談しておきましょう」