歌舞伎町の路上でホストが女性に刺される殺人未遂事件の報道は記憶に新しい。とはいえ、ほとんどの女性はホスト遊びが疑似恋愛である自覚はある。それなのになぜホス狂いに走るのか。
「自分の存在意義を見いだすのが難しいからかも。誰かに認められて心を満たしたいとき、お金さえ払えばホストは褒めて、彼女たちの自己肯定感を上げてくれますから」
「『売春は犯罪』と子どもに教えないと」
城咲さんは今もボランティアで歌舞伎町にいる若者の相談にのっているが、ホストの餌食になりやすいのは、意外にもまじめで地味なタイプが多いという。
「多いのは家庭に居場所がなくて、SNSを見て本当に“トー横”に行ってしまうケース。そこで大久保公園での立ちんぼの仕方を教えてもらって軽い気持ちで売春を始めちゃうんです」
10代の子どもがホストクラブにハマるような状況にならないよう、親ができることはないのだろうか。
「ホス狂いになる女の子たちは、やっぱり愛情に飢えていますから、家族で向き合って話してほしい。多少ぶつかっても、自分を大事にすることを教えないといけないと思います。今は簡単に知らない人とSNSでつながれますから」
教育の中でも悪いことを伝えていくべきだと語る。
「パパ活なんて軽いトーンの流行り言葉で濁さず、きちんと『売春は犯罪』と子どもに教えないと。親に向けても勉強会を行って、意識改革をしたほうがいいと思うんです」
“大人の見て見ぬふり”が、新たなる負の連鎖を生むと警鐘を鳴らす。
「僕らが若いときは悪いことをすると、叱ってくれる人がいました。今は学校の先生も、責任を持ちたくないから説教もしない。支えになる人がいないから今はその日の宿代が稼げればいいと、汚いおじさんに3000円で売春してしまう。
これはもう自傷行為に近い。様子がおかしい子がいたら、おせっかいでも、もっと周りが声をかけるべきなんじゃないかな」