空き家はこの20年間で1・5倍に増加!

空き家数の推移、出典:2018年住宅・土地統計調査(総務省)
空き家数の推移、出典:2018年住宅・土地統計調査(総務省)
【画像】「このペースだと3軒に1軒が空き家に!」空き家数の推移が示す異常事態

 国土交通省のデータでは、空き家率の高い都道府県1位は和歌山県、2位が徳島県、3位が鹿児島県でやはり上位を地方が占める。しかし、空き家の実質数は意外にも東京都世田谷区がもっとも多く、その数は4万9000戸にも及ぶ。

「世田谷区は23区内で2番目に面積が広く、ほとんどが住宅街のため必然的に空き家の数も多くなります。また不動産価値が高いエリアのため価格も高く、買い手が見つからないことも影響していると考えられます」

 これに加え、前出の国土交通省の資料にもからくりがある。このデータは総務省が行う「土地統計調査」に基づいており、空き家とされている物件の中には賃貸用物件や売り出し中の物件も含まれているのだ。

「統計調査だけでは、4万9000戸とされる世田谷区の空き家のうちどれだけが本当の空き家で、どれだけが賃貸物件や売り物件なのかはわかりません。自治体ごとの詳細な空き家状況を把握するには、統計調査ではなく実態調査が重要です。現在も自治体単位では実態調査がなされていますが、データを定期的に更新し、民間企業と共有するなどの有効活用ができていません。そのような仕組みづくりも今後の課題のひとつです」

 例えば、国土交通省がまとめた2018年のデータでは、全国の空き家数は849万戸とある。しかしそのうち462万戸は賃貸用か売り出し中の物件で、放置された本当の空き家にあたる「その他空き家」は349万戸となる。とはいえ、349万戸でも膨大な数字だ。しかもこの「その他空き家」の割合は年々増え続けており、この20年で約1・5倍に増加している。

 ここでひとつ疑問が生じる。これだけの膨大な空き家物件があり、しかもその9割以上が「十分に人が住める」状態でありながら、なぜ日本では新築物件が次々と建てられ、不動産価格も年々上がり続けているのだろう。

「約349万戸の空き家は放置されている状態で、市場に流通していません。つまり、買いたい人や借りたい人がいたとしても、交渉の余地すらないのです。いわば、“空き家があるのに空き家がない”という困った状況です」