目次
Page 1
ー テレビから“消えた”シーン
Page 2
ー ドッキリもパイ投げも
Page 3
ー 古い笑いと新しい笑いの違い
Page 4
ー 「テレビは危険の疑似体験」

「おい! 起きろブス!! 盛りのついたメスゴリラ」

 穏やかではないセリフから始まったのは、阿部サダヲ主演のドラマだ。

 暴力的な言葉とともに画面に表示されたテロップには、《時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現を敢えて使用しています》と、記される。

「1月26日からスタートしたTBS系の連続ドラマ『不適切にもほどがある!』が、ハラスメント満載の問題作と話題です。近年ではコンプライアンス順守が叫ばれ、セクハラ、パワハラ、差別的表現など気をつけなければならないことが山のようにある。人気脚本家の宮藤官九郎さんは、そんな現状に対して“なぜダメなの?”と、問題提起のため、あえて作ったと語っています」(テレビ誌ライター、以下同)

 ドラマは1986年に生きる阿部演じる主人公の教師が、現代にタイムスリップする物語。第1話で描かれる1986年では、阿部が女性に「初体験は?」と聞くセクハラ発言や、生徒の尻をバットで叩く体罰シーンも登場。まさに現代では“不適切”なことばかり……。

「その一方で、現代では磯村勇斗さん演じるサラリーマンが、部下の女性に“頑張れ”と声をかけただけでパワハラ認定されるなど、そのいびつな社会構造についても皮肉たっぷりに描かれています」

テレビから“消えた”シーン

 昭和から平成初期は、テレビ全盛の時代だった。しかし、当時の常識が今の非常識になっている。令和になってテレビでは見なくなったシーンは─。

「一番に思い浮かぶのはお色気ですね。具体的に言えば“女性のチクビ”でしょう」

 そう説明するのは、テレビ朝日でニュース番組や情報番組などを手がけ、現在はフリーのテレビプロデューサーとして活躍する鎮目博道氏だ。