寿命も長くなり人生100年時代を迎えた今、離婚した後の人生も長い。もらえるものはしっかりもらい、未練なく次の人生へ軽やかに踏み出せるよう、“離婚”が頭をよぎったらまずは作戦を練ることが第一だ。抜かりない準備、後腐れのない別れが老後の幸せを左右する―。
“本気で離婚をしたい人”が増えている
「一生添い遂げる」と誓っても、さまざまな理由で“離婚”という結末を迎えることもある。約30年間、結婚・離婚カウンセラーとして多くの男女の悩みに耳を傾けてきた岡野あつこさんは「最近は“本気で離婚をしたい人”が増えている」と話す。
「長い間結婚生活を送っていれば、誰しも一度や二度は『離婚』が頭を掠めるもの。しかし近年は、真剣に離婚を検討し、実行に移す女性が多い印象です。彼女たちが離婚を決意する理由のひとつが“夫のモラハラ”。
コロナ禍以降、リモート勤務の影響も大きいのでしょうが、世の夫たちは私生活や仕事でストレスがたまり、妻に向ける暴言が激しさを増しました。一緒にいる時間も長いため、精神的に追い詰められる日々に限界を感じた妻が、モラハラ夫に三くだり半を突きつける事例が増えていますね」
モラハラが原因で離婚を決めた女性の意志は固く、パートナーに対して“変わってほしい”という期待も、関心も失うという。
「昔はモラハラという言葉自体が存在しなかったので、離婚の理由になりにくかったの ですが、今やモラハラは社会問題のひとつ。不倫などの異性関係よりも、モラハラ夫への愛情回帰は難しく、離婚を早々に決意している印象です。何より、現代の女性はエネルギッシュ。モラハラに耐えながら時間を無駄にするくらいなら、夫を捨てて自分の人生を歩みたい、と考える女性がたくさんいます」
ただし、離婚して新たな一歩を踏み出すには事前準備が必須、と岡野さん。
「感情に任せて離婚を切り出すのは最悪手。お互いにケンカ腰になり、泥沼化するリスクがあるのです。ケンカ上等で挑むのもひとつの手ですが、晴れて離婚できても、受け取れる財産やお金が減ってしまったり、精神的に疲弊したりして再起に時間がかかります。しかし、準備をして交渉に臨めば、無駄な労力を使わずに済むはずです」