音楽と園芸農家の二刀流
2001年から2005年にNHKで放送された『中学生日記』で、初めて先生役に。
「当時の生徒役とは、今も連絡を取り合っています。相談とか、普通にしてくれていた子たちが、どんどん番組卒業していく。そうか、教師ってこういう気持ちなんだって。
自分の子育てにもいい勉強になりました。20歳を超えたら対等な大人ですから、将来は、子どもが決めればいい。ウチの子どもは、音楽はやっていません。家に僕のギターが30本以上あるのにまったく触らなかった。環境が子どもの才能を伸ばすって、あれはウソですね(笑)。普通の会社員です」
竹本は現在、音楽の傍ら埼玉で園芸農家を営んでいる。
「歌をやろうが農業をやろうが、これが自分にとって自然だと思った。園芸農家を始めて、自分を見つめられたと思います。花は喋ってくれませんから。園芸を始めた1年目は大損害。やめようと思ったけど考えました。やめるのは簡単だけど悔しい。納得するまでは頑張ろうと決めて。何度かトライして、必死に研究して、賞を取りました。やればできると思ったら面白くなった。今は思いのほか規模が広がって、気づいたらビニールハウスが10棟に」
テレビ埼玉で情報番組のMCを8年間、続けている。
「食レポもしますが、おいしくないものを“おいしい”とは言えない(笑)。見ている人に対して失礼なことはしたくない。本当にうまければ“うまい”と言う。口に入れた瞬間“おいしい”って、ありえない。不器用なのか嘘が下手なんです。たぶんこの先も、こうやって生きていくと思います。これを変えたら俺じゃなくなるので」
今も年間に数十本のライブで全国を飛び回る。島根、長崎、上田・別所温泉の親善大使も務めながら、埼玉の緑豊かな場所で暮らしている。
「都心に暮らしたいとは、もう思わない。ここは心の平穏を保つのに必要な場所。自宅にスタジオがあって、配信も始めました。夜中にギターをガンガン弾いて、声量マックスで歌っても誰も文句を言わないのは田舎だから」
俳優業からは遠ざかっているが、やめたつもりはない。
「スケジュールが取れず今はやれないだけ。まだ、落ち着きたくない。人からは“おまえまだまだだな”って言われ続けたいですね」
16歳のデビューから、生き方はずっと同じだ。