終活はしすぎない!思い出は老後の潤いに

 また、家具や内装を変える場合は、天然素材のものを選ぶのもおすすめだ。自然を感じられるだけでなく、、調湿機能に優れており、風邪をひきにくくなるメリットも。

「“終活”を理由に片付けを加速しすぎることにもストップをかけたいです。60代後半のある女性の例ですが、部屋をスッキリさせるために50代半ばから、部屋の物をどんどん手放し、家具もダウンサイズしたそうです。

 ところが、持ち物を必要最小限にし、自分が思っていたとおりの部屋が完成したとき、彼女は思ったそうです。“なんだかむなしい”って。防災グッズしか残っていない部屋で、これから先の人生をどう過ごすのか想像すると悲しくなったと言っていました

 物が多すぎるのもストレスだが、趣味のグッズや思い出の品など、見ているだけでワクワクするものがなければ、潤いのある老後は過ごせない。

「子どもたちが親の家を片付けるときは、過保護にしすぎないことも大切です。両親が元気に暮らしているのであれば、少々の段差はすべて排除しなくてもいい。むしろ、家の中で過ごすだけでも運動になるような工夫があるほうがよいと思います」

 例えば、洗濯物を干す場所が2階で大変そうだと思っても、足腰が丈夫なうちは、“筋トレ”と捉えてみる。

「年齢を重ねたからといって、物を減らすだけが正解ではありません。家具の位置を変えるだけでも、夫婦関係がよくなったり、ストレスが減ったり、“心地いい部屋だな”と思えることも。

 どんなふうに年齢を重ねていきたいか想像して、末永く健康に暮らせる部屋づくりをしてください」

高原美由紀さん●空間デザイン心理学協会代表理事、1級建築士。心理学・脳科学をもとに幸せな人生を送るための部屋づくりの法則を「空間デザイン心理学」として体系化。近著に『ちょっと変えれば人生が変わる!部屋づくりの法則』(青春出版)
高原美由紀さん●空間デザイン心理学協会代表理事、1級建築士。心理学・脳科学をもとに幸せな人生を送るための部屋づくりの法則を「空間デザイン心理学」として体系化。近著に『ちょっと変えれば人生が変わる!部屋づくりの法則』(青春出版)

教えてくれたのは……高原美由紀さん●空間デザイン心理学協会代表理事、1級建築士。心理学・脳科学をもとに幸せな人生を送るための部屋づくりの法則を「空間デザイン心理学」として体系化。近著に『ちょっと変えれば人生が変わる! 部屋づくりの法則』(青春出版)。

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取材・文/河端直子