益若つばさ、ハイヒールモモコも重篤化
昨年初めには、タレントの益若つばさも「激しい頭痛と目が痛いのとおでこの水ぶくれでしばらくダウン」と重度の帯状疱疹で療養していたことを公表。
松尾先生によると、ウイルスが目まで広がると角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎といった病気を合併し、視力低下や失明に至ることもあるという。さらに、軽い髄膜炎を起こすこともよくあり、頭痛などの症状も。
「発症の場所によっては、本当に怖い合併症を起こす可能性があります。顔に帯状疱疹が出ると、顔面神経まひ、難聴、めまい、耳鳴りといった合併症を伴うことがあります。困ったことに、3分の1は発疹より先にまひが出ることもあり、正しい診断がつかないことで症状が長引いてしまうこともあるのです」
合併症の他に、山口同様、後遺症の苦痛にも悩まされる人も多い。
「帯状疱疹後神経痛(PHN)です。ハイヒール・モモコさんも現在もその症状に悩まされているそうですが、帯状疱疹後、3か月痛みが続く人が15~20%、6か月は5%、1年以上続く人が1%います。焼けつくような痛み、電気が走るような痛み、皮膚に触れると痛むといった3つの痛みが特徴です」
治療法は、いわゆる消炎鎮痛薬の内服は効果がなく、抗てんかん薬、抗うつ薬といった鎮痛補助薬やオピオイドなどの内服が主体となるようだ。長いと10年以上も続く痛みと付き合わなければならず、とにかく帯状疱疹にかからないことが重要になる。
帯状疱疹を防ぐためには栄養バランスがとれた食事、適度な運動、良質な睡眠、ストレスを避けるなど、一般的に免疫力を下げない生活を送ることが重要だが、「効果的な対策はワクチン」と松尾先生。合併症や後遺症に苦しまないよう何よりも予防が大切だ。
松尾光馬先生●まつお こおま。中野皮膚科クリニック院長、皮膚科医、医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、同大学講師を経てクリニックを開設。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本性感染症学会認定医。日本で数少ない帯状疱疹の専門家。