女性は身体の構造上、便秘になりやすい
便の変化は病気だけでなく、加齢によるものもある。
「高齢になるほど便秘の有症率は増えていきますが、統計学的にも50歳から60歳ぐらいで男女共に増えることがわかっています」
その理由として、食事量の低下や運動不足などがあるほか、女性は身体の変化が影響することも。
「若いうちはホルモンバランスの悪化などによる便秘が多いのですが、年齢を重ねると、排出力の低下が主な原因に。特に出産を経験していると、骨盤の底部で膀胱(ぼうこう)や直腸などの臓器を支えている骨盤底筋も緩んできます。
骨盤底筋は、排泄(はいせつ)時に締めたり緩めたりすることで排泄をコントロールしている筋肉なので、骨盤底筋が十分に機能しないと、排便に支障が出ます」
骨盤底筋を少しずつ鍛えておくことが重要。
「横になった状態での深い腹式呼吸が効果的。しっかりお腹をへこませて息を吐ききることがポイントです」
さらに、女性の身体の構造的な原因で起こるのが、直腸瘤(りゅう)という病気。
「女性には産道があるぶん、男性よりも骨盤底に隙間があります。そのため、長年いきんで圧力をかけ続けていると、直腸と膣の間の壁が弱り、隙間に圧力が逃げることで膣側にポケットのような膨らみができます。これが直腸瘤。
そうなると、袋の中に便がたまって便秘になったり、いきんでも袋が膨らんでしまったりして、排便しづらくなってしまうのです」
キケンな便トップ3
・血便
便の表面に血がついているよりも、便の中に血が混じっているほうが危険度は高い。なかでも腹痛や便秘、貧血を伴う血便や、出血量が多い場合は特に要注意。大腸がんや大腸憩室症、潰瘍性大腸炎など、消化器疾患の可能性が高い。短期間に何度も多量に血便を認める場合は、命に関わる緊急事態の可能性も。
・黒色便
便秘などで水分が少ない時の濃い茶色ではなく、かさぶたのように血が固まった黒さの便は注意が必要。これは食道や胃、十二指腸から出血しているサイン。胃潰瘍や胃がんから出血していると、血液中の鉄が酸化して黒い便となる。
・白色便
バリウム検査の後に白い便が出ることがあるが、検査後でない場合は内臓の不調が疑われる。ロタウイルスに代表される感染性腸炎の一部で白い便が出ることがあるほか、白~レモン色の場合には肝臓と胆管の異常が考えられる。