老いない生き方(8):病気の悪化予防には社会とのつながり

糖尿病で通院していた70代後半男性Aさんが教えてくれたこと

 糖尿病が悪化したという男性の患者さん。

「生活習慣が変わって症状が悪化したそうで、事情をよく聞くと、奥様が亡くなってしまったと。“いつお迎えがきてもいい”と、生きる気力を失っていました。

 実は『孤独はタバコ1日15本分のリスク』というデータがあり、社会とのつながりがなくなってしまうことは健康に良くないんです。

 孤独で家にひきこもっていると死亡リスクが2.19倍にも高まるというデータもあります。でもまた新しく社会参加できれば、元どおり健康になることもあるんです」

 このAさんは、入院するほど症状が悪化したものの、囲碁サロンを紹介するとメキメキ回復されたのだとか。

「薬の処方、食事や生活指導でもなく、囲碁を通じた社会とのつながりが健康をもたらしたといえるのです」

 社会参加は大事だが、楽しくなければ逆効果になってしまうので注意とのこと。無理せず、自分が居心地の良いコミュニティーを見つけて!

教えてくれたのは……総合診療科医師・舛森 悠先生●自身の祖父を診てくれた総合診療科医の影響を受け医師を目指す。予防医学や、心理社会問題、介護、福祉の分野にも精通し、その活動を発信している。2023年に、地域の人たちと医療者のつながりを深める「はこだて暮らしの保健室」を開設。著書に『総合診療科の僕が患者さんから教わった70歳からの老いない生き方』(KADOKAWA)がある。YouTubeで「Dr.マンデリン」として健康情報を配信。

総合診療科の僕が患者さんから教わった70歳からの老いない生き方』著・舛森悠(KADOKAWA)記事の中の写真をクリックするとAmazonの購入ページにジャンプします

取材・文/成田 全