「ケガの後は以前の自分の身体ではない」
何より佐藤さんが反省するのは、「ヘンに自分に自信があったこと」だという。
「ひざ痛を改善するには、ひざの負担を減らすために、関節のまわりを『鎧』のように支える筋肉を鍛えるしかありません。でも思えば、手術を受ける前、ひざの調子が悪い期間に運動量が減り、かなり脚の筋力が落ちていたんですよ。それをまず補う必要があったのに、自分の前々からの経験で判断した結果、やりすぎちゃったんですね」
幼少期からスポーツを続けて身体をつくってきた佐藤さん。術後は「駅の階段を2段飛ばしで上れなくなってショック」だったとか。一般の人とは基準が違うが、「ケガの後は以前の自分の身体ではない。段階的なリハビリが第一」と実感したという。
「僕の体操教室でも、子どもたちが身体の基礎をつくれるように、段階的に身体を動かす工夫をしているんですよ。なのに、自分がこれじゃ、いけませんよね(苦笑)」
佐藤さんは、ひざまわりの筋肉を鍛えるスクワットなどリハビリを地道に継続。一昨年は渡嘉敷島、今年は熊本のマラソン大会で、それぞれ3kmを走るまでに回復した。
「以前は『3kmなんてすぐそこ』だったのに、久々に走って、『こんなに遠かった?』と焦りましたけどね(笑)」
そんな経験も通して、ひざ痛に悩む人の気持ちが理解できるようになったという。
「ひざの負担を減らすには、足首や股関節を柔軟にするストレッチも大切で、その効果も実感しました。ひざが痛い方は試してほしいですね」
また、すり足で歩くのもおすすめだとか。足腰を支える筋肉が鍛えられるので、ひざ痛予防にもよいとのこと。
「今後も正しいリハビリをしながら、未経験のハーフマラソンやフルマラソンを目標に、しっかり身体をケアしていきたいですね」
佐藤弘道さん 1968年生まれ。1993~2005年の12年間、NHK『おかあさんといっしょ』の第10代「たいそうのおにいさん」を務めて人気に。親子体操教室や指導者向けの教育活動を展開するほか、テレビやCMなどでタレントとして活動中。
取材・文/志賀桂子