芸能界の友人たちも惹かれる人柄

『徳光和夫のTVフォーラム』(日本テレビ系)ではキャスターを
『徳光和夫のTVフォーラム』(日本テレビ系)ではキャスターを
【写真】大学3年生の頃、こっそり素人モデルをやっていた岡田美里

 冒頭に出てきたように、2人の娘も立派に成長し、それぞれ伴侶を得た。長女の菊乃は、アパレルブランドのデザイナーでファッションブロガーとして活躍。次女の小春は俳優として映画、ドラマ、舞台で活躍して、芸能界に多くの友人がいる。女優の水川あさみもその1人だ。

「美里ちゃんはとにかくキラキラ、オーラがピカピカ。内側からあふれ出す、純真さと大人と子どものはざまにいるような美しい方でビックリでした」

 水川は、美里に編み物を習ったという。

「子どものときに少しやっていたのですが、すっかり忘れてしまっていて。美里ちゃんに教室を開いていただき、友人や、うちの会社スタッフや小春たちとみんなで習いました。優しく、丁寧に教えてくれました。

 編み目の数を覚えておかないといけないのだけど、編みながら忘れてしまうということがみんな勃発して(笑)。美里ちゃんのおっとりした、優しい声に癒されながら編み進めました。自然と密に接する中で暮らしている美里ちゃんの、素晴らしい感性を信頼しています」

 お笑いコンビ、ハリセンボンの近藤春菜も小春の友人で、山梨の家にも泊まったことがあった。

「美里さんは友達のお母さんなんだけど友達みたいな感覚。インスタライブもいつも見ていて、とってもチャーミングな人だなと思ってました。

 作ってくれるごはんもおいしい。山梨のおうちに泊めていただいたとき、ワンちゃんがすごく美里さんに懐いていて、“ああ、美里さんに心を開いているんだな”と互いの愛情と信頼を感じましたね」

 春菜は、Aさんにも会った。

「旦那さんも美里さんと穏やかな時間を共有しているんだな、と思いました。私たち世代も美里さんたちのような大人になりたいと思ってますよ」

 堺正章とはずっといい関係が続いているという。娘たちの卒業式や入学式も2人で出席した。今回の彼女の結婚にも「いい伴侶ができたみたいでよかったですね」というコメントを寄せてくれたという。

 そして今、新たな気持ちで仕事と向き合っている彼女。

「今は以前に比べると生きやすくなったと感じています。なんというか“素”で楽しい」

 現在は、山梨と東京の2拠点生活だ。数年前からは、山梨でジャムを製造し、自身のブランド『ジャムオブワンダー』を立ち上げ、またテレビ山梨のワイド番組『スゴろく』にレギュラー出演しているため、10日に1回は山梨に戻っている。

 東京では、夫の2世帯住宅の2階で生活。4月からは、BS朝日の音楽番組『人生、歌がある』の司会を吉幾三と共に務めている。実はこの番組初収録の2日前、美里に悲しい出来事が起きた。

「母が3月5日に亡くなったんです。92歳、私の手を握りながらの旅立ちでした」

 好き勝手に生きた人と思いながらも、母の晩年に一緒の時間を過ごした美里。最後の言葉は「ありがとう、ありがとう」だったという。

 そんな悲しみを背負いながらも、自身のインスタでは《ご心配にはおよびませんので、いいね!だけ押してくださいね。さあ、土曜日はヒロミGOよ!》と、収録に。

タレント、実業家・岡田美里(撮影/佐藤靖彦)
タレント、実業家・岡田美里(撮影/佐藤靖彦)

「フルバンドの演奏でゲストの歌手のみなさんも豪華で、すごく楽しいです。ワクワクしますね。音楽は好きだったけど、勉強することが多くてまるで受験生のように勉強してます。

 私の人生でカラオケに行ったことは15回くらいしかないんですが、歌は大好き。ユーミン、ハイ・ファイ・セット、竹内まりやさん、山下達郎さん、チューリップとかね。山梨へ行く車の中でずっと歌っています」

 そして音楽に関わる番組で懐かしい曲に出合うと、父のことを思い出すという。

「父はNHKの音楽番組『夢であいましょう』の司会もやっていましたから。菅原洋一さんなどとお会いすると懐かしがってくれます。それにしても60歳を過ぎてから音楽番組に携わるなんて、考えてもいませんでした」

 そう言って彼女は可愛らしい笑顔を見せたのだった。タレント、実業家、そしてひとりの女性として、新しい世界へと歩き出している美里。人生100年の時代、彼女の“第2ステージ”は始まったばかり─。

<取材・文/小泉カツミ>

こいずみ・かつみ ノンフィクションライター。芸能から社会問題まで幅広い分野を手がけ、著名人インタビューにも定評がある。『産めない母と産みの母~代理母出産という選択』『崑ちゃん』(大村崑と共著)ほか著書多数。