近年のトレンドは異業種と地方に
食品メーカー同士の組み合わせだけでなく、異業種の企業同士が協働して、今の流行や消費者ニーズに合わせた新商品も増えている。特に目立っているのがヘルスケア企業とのタッグだ。
例えば、飲料メーカーのキリンとサプリメント『カロリミット』を販売するファンケルのコラボ。
「健康志向の高まりを受け、低アルコール飲料の市場は伸びています。ファンケルの『カロリミット』は、糖や脂肪の吸収を抑制する効果が期待できる成分を配合したサプリメント。互いに手を組むことで、新しい価値を提供しているといえるでしょう」
キリンホールディングスの発表によれば、ファンケルとのコラボ商品シリーズの昨年の販売数量は前年の3倍強とファンを増やしている。
体組成計などを販売するタニタが運営するタニタカフェとドレッシングでおなじみのピエトロは、ヘルシータイプのドレッシングやスープなどを発売。売れ筋の『pietro daily plus ドレッシング レモン&ナッツ』は、定番品『ピエトロ ドレッシング和風しょうゆ』と比べ、塩分を大幅にカットしながらおいしさはキープ。
「コロナ禍以降、塩分カットや低GI値の商品が増え、健康寿命を延ばしたいシニア層やその家族にも人気です」
異業種コラボ食品のトレンドは、地方にも及ぶ。栄養科のある大学との産学連携プロジェクトも見受けられる。
「地方創生や地域活性化の流れに乗りやすいという理由からも、コラボ開発は進んでいます」
ほかにも、圧倒的なシェアを誇る地元企業と協力し、商品開発を行うケースも。
例えば、沖縄の酒造メーカー「オリオンビール」は三菱食品の北海道支社と連携し、それぞれの名産品マンゴーとメロンをかけ合わせたチューハイを作り、全国販売に乗り出した。
オリオンビールは沖縄県内では高いシェアを持つが、全国的にはビール業界の中で大手に次ぐ5番目に位置する。三菱食品は外食企業の仕入れ先として知られる会社だ。
「この商品は売り上げの一部が北海道と沖縄の自然保護に取り組む団体に寄付されます。地域の特産品を後押ししながら、社会貢献もできる。食のコラボの大きな可能性を感じます」
単においしいだけじゃない“コラボ食品の世界”。期間限定の商品も多いので売り切れる前に味わってみて。