真空状態でも危険あり

「2つ目の食材は生肉。特に鶏肉はカンピロバクターという菌に汚染されやすく、産地に関係なく国産でもリスクが。カンピロバクターはしっかり加熱すれば死滅しますが、加熱が不十分で菌が残っていたり、汚染された鶏肉の刺身を食べることで食中毒を引き起こします」

 感染すると2〜7日で下痢や発熱、腹痛、血便などの症状が現れる。

「焼き鳥屋に行った数日後に発症したケースや、身体を鍛えている若い男性が自宅で鶏肉を調理して発症したケースにもよく遭遇します。料理に不慣れな場合など、調理後のまな板や手の消毒が不十分で感染することも多く、生肉の扱いには注意が必要」

 しかもカンピロバクターは腸災症状が改善した後、ごくまれにしびれや筋力低下などの神経障害を引き起こすギランバレー症候群を発症することもあり、病院で適切な治療を受けることが大切。

ウェルシュ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌は特に注意が必要。まれにボツリヌス菌も食中毒を引き起こす ※写真はイメージです
ウェルシュ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌は特に注意が必要。まれにボツリヌス菌も食中毒を引き起こす ※写真はイメージです
【写真】梅雨に要注意!食中毒を引き起こす食材たち

「3つ目はおにぎりやお弁当など人の手で作られた調理食品、加工食品です。人の皮膚には黄色ブドウ球菌という菌が存在していて、十分に手洗いをしないまま食品に触れると菌が付着します。そして高温多湿の環境下で時間とともに菌が増殖して毒素を出し、これを摂取することで食中毒が起こります」

 症状は吐き気や嘔吐(おうと)。潜伏期間は1~6時間と発症まで早いのが特徴だ。

「サラダなどの生野菜や、人の手で切られたカットフルーツなどもリスクがあるため、この時季のお弁当や惣菜類は冷やして保管してください」 また件数は少ないが、真空パックの食品もまれに食中毒を引き起こすという。製造過程で菌を死滅させるため「120度で4分以上の加熱」が義務付けられているレトルト食品と、冷蔵で保管が必須な真空パックを混同することが主な原因だ。

「スーパーなどで売られている真空パック詰めの惣菜は、レトルト食品とパッケージが似ているため、菌が生息できないというイメージを持つ人もいるようです。ですが、真空状態でも生息可能なボツリヌス菌が混入しているケースが。

 冷蔵品は、保存温度が低い状態であれば菌の増殖は抑えられるため、保存指示を守るとリスクを減らせます」