温度管理と殺菌消毒の徹底を!

 梅雨に注意が必要な食材を紹介したが、それ以外の食材でも基本的な対策が重要だ。

「梅雨の食中毒対策はまず、温度管理が必須。食材を冷やして保存するのはもちろん、調理した料理も放置せずに冷蔵庫で保存しましょう。持ち運ぶお弁当などは保冷剤を忘れずに。

 また調理時や再加熱時に十分加熱して菌を死滅させることも大切。梅雨時季はできるだけ生肉や生魚を食べないというのも手ですね」

 さらに調理工程にも食中毒のリスクが潜んでいるため、こまめな殺菌消毒が必須だ。

「調理前、調理後の手洗いは必ず行ってください。特に生肉や生魚などの生ものを触ったまま次の工程に移ると食材を汚染する可能性があるため、殺菌消毒効果のある石けん類で手を洗いましょう」

 まな板などの調理器具や布巾の食毒にも気をつけたい。

生ものを切ったあとのまな板にも菌が付着している可能性があるため、他の食材を切る前に必ず洗剤で洗うこと。包丁やお皿なども同様です。まな板は生肉用、生野菜用など分けて使うのが理想。

 手を拭く布巾は菌の温床になりやすいため、リスクの高まる梅雨時季や生ものを扱う際を中心に、キッチンペーパーなどの使い捨てのものを活用するのもおすすめです

 また食中毒の注意点として、同居している人に症状が現れた場合、病院に行く前はウイルス性か細菌性かがわからないため、極力同じトイレは使わないようにしたい。

「ウイルスは下痢や吐瀉(としゃ)物から感染するため、同居人の体調不良には注意が必要です。消毒の際は次亜塩素酸が有効。高齢者など基礎体力が低下している方は下痢や嘔吐で脱水を起こすこともあり、重症化するケースも。体調不良の際は迷わず医療機関に相談してくださいね」

田中雅之先生●医学博士、日本感染症学会専門医。KARADA内科クリニック渋谷院長。著書に『「コロナ」がもたらした倫理的ジレンマ』(日本看護協会出版会)。
田中雅之先生●医学博士、日本感染症学会専門医。KARADA内科クリニック渋谷院長。著書に『「コロナ」がもたらした倫理的ジレンマ』(日本看護協会出版会)。
【写真】梅雨に要注意!食中毒を引き起こす食材たち

教えてくれたのは……田中雅之先生●医学博士、日本感染症学会専門医。KARADA内科クリニック渋谷院長。著書に『「コロナ」がもたらした倫理的ジレンマ』(日本看護協会出版会)。

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文/井上真規子