“為替差益”にも注目

 もう1つは外債。外国の国や企業などが発行元の債券だ。

「外債の代表格はアメリカ政府発行の米国債です。米国債の利回りは満期5年、10年ものが4.5%前後で推移しています。日本の個人向け国債と比較したらはるかに高利回りですよね」

 例えば、利率4%、満期5年の米国債に100万円を投資した場合、この間に為替の変動がなければ、毎年4万円、5年間トータルで20万円の利子を受け取れる。そして満期の償還日には元本100万円が払い戻されるだけでなく、“為替差益”を得られるチャンスもあるという。

「米国債はアメリカの通貨のドルで購入します。仮に1ドル=150円のときに購入し、満期の償還日に1ドル=160円の円安になっていた場合には、1ドルで交換できる円が150円から160円になっていますよね。この増えた10円分を為替差益といい、米国債はその実入りも期待できます」

 ここで冒頭に伊藤さんが説明した日本上昇の理由を思い出してほしい。いまの式市場の盛り上がりの背景には円安が関係している。円安トレンドのままなら為替差益を得られるのだ。

「為替の動向は予測できませんが、通貨を分散して保有することは、リスクを抑える効果があります」

 ただし、社債も外債も、当然ながらリスクを伴う。

「債券投資は、発行元の信用力によって利子の支払いや元本の返済が保証されています。したがって社債であれば企業、外債であれば国や企業などを信用し、投資できるかが問われるわけです。

 加えて外債の場合、満期時に為替差益が望める一方で円高になれば“為替差損”が生じることも覚えておいてください」